『ユゴ～大統領有故～』：コレット.com：SSブログ

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『ユゴ～大統領有故～』　[韓国映画] [編集]

大阪まで以前より観たかった映画を見に行ってきました。
２００４年イム・サンス監督作品ユゴ～大統領有故です。

公式ホームページはこちら

原題は『その時、その人々』といい、邦題よりも内容が分かりやすいように思います。
で、その内容はと言いますと、１９７９年１０月２６日に起こった、
パク・チョンヒ大統領暗殺事件の１日を描いています。
その事件に関わった人々のその時を一本の映画にしているのです。

事の首謀者である中央情報部のキム部長（ぺク・ユンシク）、
彼の傍らにいつも随行する秘書のミン大佐（キム・ウンス）、
そして、キム部長の右腕のチュ課長（ハン・ソッキュ）、

キム部長からじかに命令をうけたのはこの二人だけなのですが、
それも途中からは連絡が絶え、
あとの面々同様、何も分からないままに命令に従い、
悲劇的な最後を迎える人々になるという政治を風刺したブラックコメディで、
権力者に翻弄される人々が憐れでした・・・

そんな内容が内容だけに、血生臭いシーンも多々あるのですが、
登場人物みんながコメディ要素を含む演技で、
芸達者な俳優が揃い、個性豊かな演技で見ごたえのある映画でした。
ただ、所々たどたどしい日本語の台詞が入るのですが、
あれは、日本人からしたら要らないのでは？と思ったのですが・・・
まあ、監督としては、悲しい酒や北の宿からを挿入歌としたのと同じく、
植民地時代の日本の影響が大きかったという事を表したかったようですね。
そしてその監督自身、映画の始まりの方でキム部長の主治医役で出演しています。
それから、劇中日本語字幕ではオヤジと訳されていましたが、
警備員達が大統領閣下のことを陰では「ハラボジ」と呼んでいたのが面白かったです。

ところで、この映画は大統領暗殺という大事件の真実を描いているのではありません。
というのも、事件についての公式記録は残っているものの、
当時の取調べは拷問だったために捏造されている可能性が高いからです。
ですから登場人物のキャラクターは脚本をも手がけたイム・サンス監督の作り物です。
でも、監督は「この映画が実際の状況に１番近いだろう」とおっしゃっています。

また、２００５年の韓国上映前にはパク・チョンヒの長男が、
故人に対して名誉毀損にあたると上映禁止を求め、
韓国ではその問題のシーンを削除して公開されたそうです。
ただ、それでも大変な騒ぎになり、興行的には大成功したようです。
そんな映画が日本では削除シーンもなく、初の完全版での上映でした。
まあ、わたしなどにはどこが削除だったのかは解りませんでしたが、
まだ亡くなって３０年です・・・
いろんな問題が絡まっているのでしょうね・・・

そして主役は・・・あら、誰なのでしょう？
一応、大スターのハン・ソッキュ主演のようになっていますが、
主役と言い切れるほどには出番がなかったような？
そういう訳で、わたしが見たところ、
キム部長を演じたぺク・ユンシクかと思うのですが・・・
この方もたくさんのドラマや映画の出演作品がありますが、
父親役から一風変わったオジサンまで、幅広く演じていて、
わたしの好きな演技派俳優の一人です。
今回もコメディ風な演技で楽しませてくれました。
なお、余談ですが息子さんも俳優で、ぺク・トビンといい、
昨年大ヒットしたキムタクの『HERO』でイ・ビョンホンの事務次官役を演じていました。
他にも韓国映画界の脇役俳優オンパレードのような配役や、
またイム・サンスファミリーといえるような俳優のカメオ出演もあり、
見知った顔がチラホラとで、わたしはとても楽しかったです。