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「ウォーロード/男たちの誓い」をみて [中国映画]

「レッドクリフ」では白っぽい衣装に身をつつんだ「静」の金城武の魅力に酔いしれましたが、
こちらでは真っ黒の衣装に顔まで黒く、アクション満載の「動」の金城くんに酔いしれました[揺れるハート]

ウォーロード/男たちの誓い

CIMG001.JPG

監督は「ラブソング」や「ウィンター・ソング」と、
ラブストーリーに定評がありますピーター・チャン監督、
実はわたしも“ピーター・チャンというと、ラブストーリー!”と思っていたもので、
こんな男気溢れる映画を作るとはとても意外に思いました。

物語の舞台は西太后が君臨していた19世紀末の清朝です。
ちょうど日本でいうと幕末の頃で、篤姫と同時期だといえば解りやすいでしょうか・・・
当時、アヘン戦争などで腐敗しきっていた清朝では、
キリスト教の信仰を掲げる人達で作る組織「太平天国」によって起こされた、
「太平天国の乱」という国を二分するような大規模な反乱があったのです。
そしてこの映画は、その反乱の鎮圧に大きな働きをし、
西太后からも厚い信頼を得ていた両江総督の馬新貽(バ・シンイ)が暗殺された、
今でも謎といわれる実際にあった事件をモチーフにしています。

そして物語はといいますと・・・
清朝軍の将軍であったパンは1600人の兵士を太平軍との戦いですべて失ってしまい、
その失意の中、朦朧と荒野を彷徨いひとりの女に助けられます。
家出してきたと言うその女リィエンと一夜を共にするのですが翌朝、彼女の姿はなく・・・
その後、村で出会った盗賊ウーヤンがパンの腕を見込んで、
自分達の仲間にならないかと彼らの住処へと案内します。
そこで盗賊の頭であるアルフを紹介されるのですが、
そのアルフの傍らには夫に寄り添うリィエンがいたのです。
そんな時、彼らの住処が襲撃され、この動乱の世を生き抜くには清朝軍に入るべきと、
パン、アルフ、ウーヤンの3人はいつ如何なる時でも運命を共にするとの
義兄弟の契りである投名状を結び、3人の固い結束力で次々と勝利を収めていくのですが・・・

とこのように、原題の「投名状」の方が、よっぽど解りやすいと思うのですが、
なんで「ウォーロード」なんでしょうね~[ふらふら]

出演は将軍パンに小柄ながらアクションスターとして名を馳せるジェット・リー
国のためなら手段も選ばず、また義兄弟の妻リィエンへの愛も抑えきれずにと、
次第に人望のあるアルフを妬み始め、最後は裏切るという屈折した男を演じていました。

そして、その仲間の信頼も厚く仲間のために戦う男アルフにはアンディ・ラウ
人を疑うことを知らず、最後まで妻リィエンも義兄弟をも信じて・・・
アンディの映画を観るのは「墨攻」以来ですが、年齢と共に渋味も出、
若い頃の彼より今の方が好きなわたしは久しぶりに観るのを楽しみにしておりました。

そして、この映画は彼のナレーションで始まります。
最後まで投名状を信じる純粋で素直な心の持ち主ウーヤンに金城武

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義兄ふたりの間で揺れ動く義弟に諸葛孔明にはなかった若さを感じつつ、
黒めのドーランに泥や血しぶきを浴びながらも、やはり男前は男前!
金城くんステキ~~[揺れるハート]と思いながら観ていたのですが、一つ気になった事が・・・[ひらめき]

じつは、他の2人は清朝のお決まりである辮髪姿での登場なのに、
彼だけどんな時でも帽子を被っており、それがあまりにも不自然なんですよね。
だって、雨中での取っ組み合いのシーンでも、
まるで接着剤でくっ付けたかのように帽子が脱げないんですもん!
あんなん、おかしい~ありえへん~~!![パンチ]
と思いつつその反面、昨今の金城人気から察するに、
確かに坊主頭では他の仕事に差し障りがあるだろうし、仕方ないか~とも思い・・・[ふらふら]
ああ、でも、金城くんの辮髪姿も見たかった!

あっ、ちなみにこの辮髪(べんぱつ)とは、
前頭部を剃り、後頭部の髪を伸ばし三編みにしたものです。
清朝ではこれを「頭を残すものは、髪を残さず。髪を残すものは、頭を残さず」と、
拒否する者は死刑というキツイ決まりがあったのです。
日本人の我々から見ると、何ともヘンなヘアスタイルですが、
それを言うなら、日本のちょん髷も同じで小松帯刀もそう申しておりましたものね~[わーい(嬉しい顔)]

で、話を戻し・・・
このように三者三様、イメージ通りの配役で観ているこちらも納得です。
そしてそんな3人の男に愛され、男達の運命を狂わせる女リィエンを演じたのは、
チャン・ツィイーやヴィッキー・チャオらと並ぶ中国四大若手女優の1人シュー・ジンレイ
ちなみに金城くんとは「傷だらけの男たち」でも共演してましたね。
チャンツイやヴッキーのような華やかさはないけれど、
しっとりと落着いた役柄がよく似合う女優ですね。

003.jpg

ああ、それにしても、リィエンが本当に愛していたのは誰でしょう?
あっいや、彼女には誰にも真実の愛はなかったのか?
この映画を観終えて、男たちの誓いよりも、ソコが1番気になったわたしです・・・

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雀翁

清朝末期、まさに動乱の時代。欧米の国々が群がるようにやってきて、それまでのように中国の内乱だけではすまなくなったのですね。支配民族が漢人ではなかったことも、時代を複雑にしたのかもしれません。世界史で習った「滅満興漢」の運動。物語を読む上では、とてもおもしろい(人事だから)です。

ああ、でも辮髪はいやですね。中国史で、「こりゃあ、かなわん」と思った2つのこと、それは辮髪と纏足(てんそく)でした。特に纏足は想像しただけでも鳥肌がたちました(男だからされないんですが。ああ、男の場合は宮刑です、うわあ、これもかないません)。中国、恐るべし。


by 雀翁 (2009-05-14 18:43) 

通りすがりの武迷

こんにちは。偶然通りかかりました。
「ウォーロード」は2回観賞して、
途中からは切なさで涙が止まりませんでした。
本当に見応えの有る映画ですね・・。

ところで、ウーヤンも辮髪になってるのですが、
日本公開バージョンの編集は香港版に比べて14分ほど短くて、
(編集もかなり異なるようです)
辮髪3男のシーンはカットされてしまってます。。
中国や香港の新聞サイトなどで探せすと写真が出てきます。
金城さん、両方のサイドの髪を刈りあげて撮影準備してましたから。
長々と失礼しました。
by 通りすがりの武迷 (2009-05-14 20:49) 

降龍十八掌

なんか浮気女の存在が気になりますぅ~。(笑)
by 降龍十八掌 (2009-05-15 10:56) 

collet

★kinkonさん、右見て左見て、お立ち寄りありがとうございます~^^;


★雀翁さんへ
そうですね~あの時代はナンなんでしょうね。
あちこちに租界を作られ・・・
でもそのお陰で欧米文化も入り込み、
魅惑的なチャイナドレスを世に送り出すことになるのですが~^^;
ちなみにチャイナドレスの元も辮髪と同じ満州族の習俗だそうです。

それから、纏足・・・あれは確かに鳥肌モンですね~(>_<)
実際のを見たことがありますが、10cm程しかありませんでした。
それに一生、足の痛みに耐えなければいけなかったようですよ。
何とも惨い話で、こんな所から我々が抱く中国に対してのイメージが
どうしても陰湿になるのかもですね・・・(ーー;)
by collet (2009-05-15 10:59) 

たいちさん

金城君は、アジアの大スターに肩を並べるまでになったのですね。この映画は、観たい作品の一つです。
「べんぱつ」の話、よく分かり、助かりましたね。
by たいちさん (2009-05-15 11:08) 

collet

★通りすがりの武迷さんへ
うわぁ~偶然通りかかって下さりありがとうございます!(^^)!
心の隅で、この映画に詳しい方にお立ち寄り頂けないかと思っておりました~

で、、、ナント!日本版は香港版より14分も短いのですか~~(@_@;)
まあ、どんな映画でもよくある事ですが、14分はちょっと多いですね!
それでその中に辮髪3男のシーンもあったのですね・・・
うぅ~ん、カットは日本のファンへの配慮かしら~?
でもそれなら、また何処かでお目にかかることもありますね~(^^♪
どうも、お知らせありがとうございました!!

それからご面倒ですが、一つお訊ねしたいのですが・・・
少し解り難くて、ちょっと確かめさせて頂きたいのです。
リィエンの幼馴染というのはアルフではなくウーヤンなんですよね?
最後の最後にチョコッと語られていたように思うのですが~
それまでわたしは、アルフだと思い込んで観ていたものですから、
不意打ちを掛けられたようで頭にちゃんと残ってないのです~(>_<)

武迷さん、お暇な時で結構ですのでどうぞよろしくお願い致します!<(_ _)>
by collet (2009-05-15 12:12) 

collet

★降龍さんへ
そーなんです!!
おとなしそうな顔をしてますが、なかなかのやり手ですのよ~
きっと降龍さんも!?あっ、痛い過去を思い出させました~(~o~)


★たいちさんへ
金城武は今やアジアを代表する俳優ではないでしょうか~
とにかく、巨匠といわれる監督にも引っ張りだこです。
辮髪話、お役に立てて良かったです~~^^;

by collet (2009-05-15 13:02) 

虹子

エエヤン♡←受けました!
この金城君は孔明と違う魅力とTVでやっていて
関心がありました。
なかなか観にはいけないかもしれませんが
colletさんに紹介していただいて、ちょっと満足(*^^)v
(「ちょっと」というのは説明が悪いという意味ではないですよ。
やっぱりこの目で「エエヤン♡」を確かめたい!っちゅうことですね)

あの髪形は「べんぱつ」というのですか。
確かに纏足といい、「怖い」ようなイメージですね。
中国というと映画「ラストエンペラー」のイメージも私には強いです。

リィエンの女優さんは本当にどこにでもいそうな感じですが
こういう方が息長く活躍されたりするんですよね~。
by 虹子 (2009-05-15 21:33) 

dolfin

太平天国の乱ですか、高校の時の世界史でしたか、言葉だけ覚えてました(^^ゞ。

日本で言う時代劇なのかなあと思いましたが・・・・。
国を二分するような反乱で1600人の兵士を失ったんですねえ。
戦っているシーンは壮大なんでしょうねえ。

by dolfin (2009-05-16 07:03) 

collet

★虹子さんへ
受けてくださりありがとうございます!
一応、ウーヤンにかけてみたのですが~(~o~)
それからこの金城くんは孔明とは別人のようですよ。
この3人の中では1番若い役柄なので余計でしょうが、
うぶな雰囲気も漂わせ、何年か前の彼を見てるようでした。
ハッキリとは判りませんが、多分、孔明と同時期の撮影だったと思うのですが、
サスガ役者ですよね~~どうぞ、虹子さんもその目でお確かめを~~!(^^)!

「ラストエンペラー」の頃にはもう辮髪も纏足も無くなってますね。
ただ、お年寄りなどには残っていたようですが・・・
とにかく、どちらも動きにくく面倒だったでしょうね~(ーー;)

ところで、このリィエンを演じたシュー・ジンレイですが、
誰かに似てるとずっと思っていたのです。
で、思い出しました~韓国女優のキム・ハヌルです!
彼女もどこにでもいそうな感じの女優なのに、結構人気者でしょ~!?^^;


★dolfinさんへ
じつは、わたしも太平天国の乱という言葉には覚えがありましたが、
どんな乱なのかは覚えなく、映画を観る前にチョイと予習したんですよ。
ただ、この映画にはそれの関連性はありませんでしたが~(~o~)

で、時代劇でアクション満載でしたが、お決まりのワイヤーアクションは少なく、
地に足がついたので当初考えていたのより少なめでした。
ホントはもっと血のりベッタリかと覚悟して行ったんだけど~(~o~)
by collet (2009-05-16 14:05) 

虹子

colletさん>
私も昨日キム・ハヌルに似ていると思ったんですよ!
やっぱりそうですよね~。
一見平凡なお顔立ちは役者さんには意外に得なんですよね!

>「ラストエンペラー」の頃にはもう辮髪も纏足も無くなってますね。
そうなんですね。どうも常識がなくて全部一緒こたです。
でも映画やドラマを見ると色々知りたくなります。
by 虹子 (2009-05-16 20:19) 

collet

そうでしょう~~虹子さんならすぐに、
キム・ハヌルを思い出したことでしょう~!
じつはわたしはお顔は分かるのですが、名前が出てこず・・・
急遽、調べてようやく!だったのです~(~o~)

>一見平凡なお顔立ちは役者さんには意外に得なんですよね!
そうですね~!これからだと母親役もできますしね!
主役ができなくなっても女優は続けられますね(^_-)-☆

辮髪も纏足も清朝滅亡と共に亡くなりました。
そしてチャイナドレスの登場です~~
じつは中国映画を観る時は、
いろんなチャイナドレスを見るのも楽しみにしているcolletです~!
by collet (2009-05-17 15:09) 

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