パンクオペラ「時計じかけのオレンジ」大阪公演をみて

舞台は勿論、映画やＴＶと幅広く活躍する小栗旬と武田真治、
そして映画では主演もし、このところ赤丸急上昇中の高良健吾と、
この３人の名前に誘われ、急に興味を覚え出掛けることになりました。
ただ、その気になったのが遅すぎて・・・
手に入れたチケットは、Ｓ席の半額だけど３階という超観難い席で～
でもまあ、このテのストーリーは苦手でさらさら期待はしてないし・・・
とにかく、以前から小栗旬と武田真治の舞台を１度観たいと思ってたのと、
今や映画界では“時の人”とでも言えるでしょうか？
話題の映画に次々出演する高良健吾も気になったしで、
観えない！解らない！は覚悟の上で、彼らのお芝居だけを観ようと出掛けました。

パンクオペラ　時計じかけのオレンジ

ところで、「時計じかけのオレンジ」というと、
わたしなど、アンソニー・バージェスの原作よりも、
７０年代初めに日本公開された映画を真っ先に思い出してしまいます。
かのスタンリー・キューブリック監督、マルコム・マクダウェル主演の映画で、
当時は一大センセーションを巻き起こし、日本でも話題になったのを覚えています。
ただわたしは、暴力だのレイプだのとオッカナソウなストーリーを知ったうえで、
到底、観る気は起らず未だに観てはおりません。
そういうわけで、今回の舞台もあまり興味がなかったのですが、
舞台なら映画程には生々しさはないだろうと思い、その気になったのですが・・・
確かに暴力シーンはそれ程でもなかったけど、
レイプシーンは、ソレ用の女優でしょうか？結構迫力がありましたね～

今回の台本および演出は河原雅彦、
そしてパンクオペラということで、ステージ上には２階が設けてありそこには生バンドが～
パンクといい、生バンドといい、
わたしとしては贔屓の劇団☆新感線のＲＸシリーズを思い浮かべてしまいますが、
演出の河原さんも相当ロックがお好きなようで？
ベートーヴェンの交響曲をベースにしたオリジナルソングを歌い踊り、
映像共々、大音響の音楽でＲＸにも負けず劣らずの賑やかさでした。
それとストーリーは映画とは違うところもあるそうで、
ラストも映画ではなく、原作に近付けたようですね。
まあ、原作も知らないもので見比べ様がありませんが・・・

物語は近未来的な雰囲気のあるロンドンの町が舞台です。
アレックスをボスとするピート、ジョージ、ディムの４人組が、
自分達しか解らない英語とロシア語のスラングを組み合わせたナッドサット語を使い、
毎日のように誰かれ構わずに殴る、蹴るの暴力を繰り返していました。
そんな時、作家アレクサンダーの家に押し入り、
作家とその妻に乱暴ろうぜきの限りをつくし・・・
次に押し入った資産家夫人の家ではとうとう、アレックスはその夫人を死なせてしまい、
殺人者として逮捕され刑務所送りとなってしまうのでした。
そして２年が経ち、牧師のもとで賛美歌を歌う日々を送っていたある時、
内務大臣の視察をきっかけに、刑務所から出たいがため牧師の反対を押し切って、
新開発の人格矯正法「ルドヴィコ療法」の実験台として病院へ行くことになるのです。
そして病院で、ドクター･ブロドスキーのもと、体をがんじがらめにされ、
アレックスの愛したベートーヴェンの第九をＢＧＭとして、
目蓋をこじあけられ、膨大な残虐描写フィルムを見せられるのでした。
そして実験に成功し、暴力に恐怖を抱くようになったアレックスですがすでに親には見離され、
今では警官となったかつての仲間たちからは、袋叩きにされても抵抗できずにいたのです。
そんな雨の降る中、アレックスを助けてくれたのは、
あの事件で妻は死に、自分も不自由な体となった作家アレクサンダーだったのです。
でも、ついナッドサット語を話したお陰で素性がバレてしまい、
政府への攻撃と自らの復讐に燃えたアレクサンダーによって２階に閉じ込められ、
ベートーヴェンの第九を大音響で聞かされた果て、堪らず窓から飛び降りるのですが・・・

さて、衣装替えまで舞台上でし、
２０分間の休憩タイムまで出ずっぱり（本当は代役がいた）だった
主役のアレックスを演じた小栗旬
舞台俳優の彼を今回初めて観ましたが、スタイルも良く舞台映えはしますし！
何てったって～舞台での彼の芝居は完全に舞台用そのもので～
声の出し方から動きまで、見事に演じていると思いました。
きっと、ご本人も舞台がお好きなんでしょうね。
それが観てるこちらにもひしひしと感じられ、
今度はちゃんとした舞台全体が観られる席で、
歌はイマイチ得意そうではない？のでミュージカルではなく、
ストレートプレイでのお芝居を観たいと思いました。

そして、舞台が好きということではこの方もきっと同じでしょう！？
作家アレクサンダーを演じた武田真治、
最初は彼だと解らずに観てたほどで、見事に化けていて本当に驚きました。
彼も映画やＴＶでは観ていましたが、最近の舞台での活躍ぶりを知るに付け、
いつか観たいと思っていた俳優のひとりです。
今回の舞台では、小栗旬以外の俳優は、何役もこなしており、
彼もアレックスの代わりに親の同居人となったジョーという若者も演じているのですが、
アレクサンダーとのギャップの大きさを自ら楽しんで演じてるようでした。
それに彼は、歌もなかなかでしたしね～
そういうことで、彼もまた観たい俳優です。

それとこれが初舞台という高良健吾、
４人組の中のひとり、ジョージ役やその他で登場してましたが、
役柄が端役ということもあり、まだまだ存在感もなく、
一体どこにいるんだ？と、オペラグラス片手に探したほどでした。
それで意外に思いましたがもしかして・・・
このお仕事は今のブレークより随分前に決まったのかもしれませんね？
でないとあまりにも薄い存在で今の売れっ子ぶりからは想像しにくいんですもん～
そういうわけで、彼については次の機会に期待して・・・

そしてわたしの当初の目的だった彼ら以外の脇を固める俳優達はといいますと・・・
まず、元劇団☆新感線で今はＮＨＫの「プロフェッショナル～仕事の流儀」で
素敵なナレーションを聞かせてくれてますね橋本さとし、
今回はドクター・ブロドスキーやいくつかの役を演じていましたが、
彼も背が高く見栄え良く、その上声がイイということで、
わたしのお気に入りの舞台俳優のひとりです。
今回は特に、綺麗にカールしたブロンドのロングヘアに
オレンジをポイントカラーにした派手な白衣姿のドクター・ブロドスキーを
ノリノリで演じているようでした～

そしてこの方も、ＮＨＫ土曜時代劇「桂ちづる診察日録」では、
頼りになるお竹を好演していたキムラ緑子、
今回は殺されてしまう資産家の老婦人からアレックスの母親、
またブロンドで白衣姿の彼女が１番ステキだった～
アレックスを元に戻す女医のドクター・ブラノム役など、いろんな顔を見せてくれ、
中でもサイケ調の派手な衣装で登場した母など、彼女だと解らないほどでした。
あっ、そうそう！あの場面は懐かしい桜木健一演じる父も解らなかった～
その他にも牧師を演じた石川禅や内務大臣役の吉田鋼太郎など、
舞台ではお馴染みの俳優たちでガッチリと脇を固め、
お芝居としては見応え充分だと思いました。

２０分の休憩込みで２時間４０分の舞台でしたが、
どことなく劇団☆新感線のＲＸシリーズを彷彿させる演出で、
わたしは観やすかったように思いますが、
やはり舞台全体が掴めずに終わったもので、それが残念でありました～
それと・・・あのラストがどうも腑に落ちずにいるのですが、
アレは何を意味してるのでしょうねェ？？

タグ：パンクオペラ「時計じかけのオレンジ」 大阪公演 小栗旬 武田真治 高良健吾 橋本さとし キムラ緑子 桜木健一 石川禅 吉田鋼太郎

コメント 22

colletさんは映画だけじゃなく、舞台もお好きなんですね。

私は舞台は滅多に行かないので、俳優さんたちのこともよく知らないのですが、昨日、東野圭吾原作の映画「白夜行」を見てきました。
堀北真希と共演した高良謙吾君、なかなか素敵でしたよ。
高良君は初めてでしたが、髪型のせいか日本ハムのダルヴィッシュ投手にすごく似ていると思いながらの２時間強でした。
日本人離れした容姿だと思いますが、舞台で端役とは惜しかったですね。

この映画については、以前連続ドラマで見ていたこともあり、色々思うことはありますが、それはまたの機会に。

Ｐ．Ｓ：お江、今週もなんとかクリアしましたが、「光秀の３日天下」ってなんだか空しいですね。

by ジョージ (2011-02-14 15:38) 

＞小栗旬や武田真治を目の前で見ることができたとは・・・。
高良健吾は知らないです。自分が無知なのでしょうね(^^ゞ。

小栗旬は獣医師をしていたＴＶＳ系のドラマを見ましたねー。日曜日の午後９時からでした。フジテレビのドラマのどちらを見るか迷っていましたが、やはり小栗旬の方でした。
ストーリーもこちらの方が自分好みだったのかもしれませんけど。

by dolfin (2011-02-14 20:13) 

舞台って、映画じゃない本物の息使いというかエネルギーを感じることが
出来るんでしょうね～(^O^)／

by まぐろ (2011-02-14 20:43) 

今回の作品については全く知識ありませんが、生の舞台はいいですよね。高良健吾は白洲次郎役で記憶にある程度です。小栗旬は眼力ありますね。
by たいちさん (2011-02-14 21:32) 

この映画をずいぶん前に見たような気がします。心地良く観賞できない映画だったような記憶があります。小栗旬は、colletさんのあまり好まれなかった「天地人」で石田三成を演じていましたね。

そうそう、「江」の再放送を見ました。このブログの皆さんの書き込みを拝見して、心積もりができていましたから、そんなに違和感を感じずに、次回も見られそうです。堺から伊賀越えで必死に逃げた家康の逃避行は有名ですが、それに江が同行するとは、将来の布石なんでしょうね。
by 雀翁 (2011-02-15 03:35) 

帰国しました＾＾
雪が降る羽田空港・・・飛行機は大揺れで、皆さんの悲鳴がまだ耳に残っています。
新しくなった羽田空港は、洗練されたところと昔の雰囲気が合わさり、何とも奇妙な感じがしました＾＾；

ｃｏｌｌｅｔさんが観られたこの作品ですが、私は日本で公開された映画を観ました。高校生だったと思いますが、私の担任が映画や演劇好きだった事もあり、私達にこの映画を観る事を勧められ、それで観に行きました。

イギリスという国の若者達の荒廃した姿、その者たちを管理する政府。日本の安保闘争が崩壊して若者のエネルギーが削がれていった姿と重なる気がして・・・
ノンポリ学生だった私に対し、大きな衝撃を与えた作品だったので、今でも記憶にあります。
by sarahe (2011-02-15 10:59) 

★ジョージさんへ
はい、子供の頃から映画も舞台も好きなんです。
あっ、それにスポーツ観戦も！
とにかく、スタジアムでも劇場でも、
同じ様にワクワクしながら出掛けてますよ～(^^♪

高良健吾とダルヴィッシュ、そういえば似てますね！
背が高くてどちらも目が綺麗で顎がスッキリしてるとこなんて・・・
次回の朝ドラにも出演決定しましたし、今年は彼のトシとなるのでは！？

それから今回の江は後半しか観られなくて～
それで、市村さんの芝居に魅せられているうちに終わってしまいました。
それにしても、何とも憐れな光秀でしたね～(-"-)

★モカさんお立寄りありがとうございます～＾＾；
by collet (2011-02-15 13:54) 

★dolfinさんへ
高良健吾をご存じない方はまだ多いと思いますよ。
でも、来年の今頃には大抵の方が知ることになるでしょう～(^^ゞ
何てったって～朝ドラの顔となりますからね！

小栗旬は本当に活躍の場が広いですね。
ましてや、映画監督までしてますしね・・・
まだ３０歳前ですが、これから先も楽しみな俳優で見続けたいですね。


★まぐろさんへ
やはり生ですからね！
演じる方も観る方も、独特の緊張感があり面白いですよ～(^^♪
by collet (2011-02-15 14:04) 

★たいちさんへ
＞高良健吾は白洲次郎役で記憶にある程度です
たいちさんの記憶力はやはりスゴイですね～～!(^^)!
わたしもドラマは観ましたが、サッパリ覚えておりませんでした！
そのようです～青年役は彼だったんですね～(^^ゞ


★雀翁さんへ
映画はショッキングなシーンが多そうなので、
わたしはこれからも観ないと思います。
で、そうでしたね～小栗旬が三成を演じてましたね。
わたしは観てないので解りませんが、彼の三成は好評だったのかしら？

＞家康の逃避行は有名ですが、それに江が同行するとは
もう、田渕さんのお好きなようにやっちゃってますね～(~o~)
とにかく主役をあちこちに登場させて！
この様子なら、清洲会議にもしゃしゃり出てくるんじゃないですか～？
by collet (2011-02-15 14:37) 

★saraheさんへ
おかえりなさい～～(^o^)／
雪の羽田に到着だったのですね！
それにしても、揺れがひどかったようで、、、(＠_＠;)
無事のご帰還おめでとうございます～～
当分はバタバタとお忙しいでしょうね。

で、キューブリック作品は好きか嫌いか大別されると思いますが、
思春期にご覧だったら影響も大きかったのでは？
とにかく、映像描写も過激なようで、当時は話題になりましたよね。
ただ、映画のラストは原作とは違うものだったので、
原作者はお怒りだったそうですが・・・

★Reiさんポチッとありがとうございます～＾＾；

★みなりんさんもありがとう～～(^^ゞ
by collet (2011-02-15 14:52) 

こんばんは～

高良君
本当に出てるの？ってくらい目立ちませんでしたよね＾＾：
背があまり高くないのかも・・・

小栗君は
舞台栄えのする俳優さんですね

同年代の舞台俳優の藤原君の舞台は見たことが無いんだけど
二人の演技はなんだか似ている気がします

休憩時間の小栗君
代役に変わっていたの～？！！
ずっと小栗君が頑張ってると思って
トイレにも行かずに見てたのに（汗）
by kaoru (2011-02-16 01:08) 

★kaoruさんへ
高良君、身長は結構ありましたよ～
ただもう一人のビート役の矢崎広くんも同じ位なので、
２人で出てると、どっちか解らなかったの～(^^ゞ
ましてやメイクが白塗りだしね！

それから、藤原くんも小栗くんも、
どちらも蜷川幸雄さんの影響が大きいのでは？
少年の頃から可愛がられたようだし！？

でね、休憩タイムのあれはね・・・
舞台が真っ暗になってから、トンネルみたいのがあったようです。
確かに姿を全く隠した時間もあったしね！
ところで、おトイレ我慢して大丈夫だったの～(?_?)

★今造ROWINGTEAMさんポチッとありがとうです～～(^^ゞ
by collet (2011-02-16 11:27) 

生「小栗旬」くんをご覧になったんですね！
彼は監督経験もあるくらい、若いながら
うまい俳優さんだそうなので、舞台も
ステキだっただろうなー。

私は「東京ＤＯＧＳ」や「天地人」での演技をみて
すっかりとりこになったくちです。

他の俳優さんはひとり何役もこなしているとか・・・。
舞台の俳優さんは、テレビに出るより、実力がないと
舞台でのお仕事を務められませんね。

最後はこれ・・悲劇なんですか？「時計じかけのオレンジ」
私、名前しかしらなくて・・、内容知らないんです（恥）。
by hirohiro (2011-02-17 08:26) 

★gwan3さんお立寄りありがとうございます～＾＾；

★hirohiroさんへ
舞台の小栗君、滑舌も良くセリフも聞き取りやすかったです。
それに長い脚がカッコ良かったですよ～～(*^^)v

そうですね、舞台俳優は一発勝負の世界で生きてるから、
緊張感もあり、その分遣り甲斐もあるでしょうね。

で、、、悲劇ではないですね。
ただ、映画では最後は元通りになりますが、
この舞台ではまだ後があるんですよね～(^^ゞ

★よしあきさん、お疲れのところありがとうございます～＾＾；
by collet (2011-02-17 13:56) 

こんばんは！
高良健吾くんに反応しています。
映画「ハゲタカ」での印象が新鮮でした。
以前、コレットさんにお話ししたような気がします。
今年は、こうらくんの年なのね。

以前、刈谷に来るとおっしゃっていた小栗旬の舞台はこれですか？
by シェルティ (2011-02-18 22:03) 

★シェルティさんへ
いや～ん、忘れてる・・・
お話しましたっけ～(>_<)
ああでも、ハゲタカで印象に残ったということは、
やはり彼はタダ者ではないという証拠ですね。
まあ、今回は初の舞台ですし・・・
とにかく次の舞台に期待ですね～～(^^♪

それから刈谷では２４日から２７日までです。
お出掛けしてみませんか？
by collet (2011-02-19 12:03) 

小栗旬は背も高そうだし舞台映えしそうな感じですね。ドラマと舞台では全然違う味がありますし、難しいことも多そうです。なかなかお芝居やオペラを見に行く機会はないのですが、生バンドって豪華ですね～。ベートーヴェンのロックアレンジってのも興味あります。
by mint_tea (2011-02-19 18:48) 

★mint_teaさんへ
小栗旬は子役時代もありますから結構、芸歴は長いようですね。
ですからその分、舞台への思いもより深いのかもね？
それから最近は、演出家が若いということもあり？
クラッシックではなく、ロック音楽が使われることも多いです。
わたしもロック好きなので、ノリノリで観てることもありますよ～(^^♪
by collet (2011-02-20 14:22) 

『時計じかけのオレンジ』は自分の中では常にトップの位置にある大好きな映画です。オペラで上演ですか、あの内容を舞台で表現するとはちょっと興味があります。
by Taddy (2011-02-25 05:21) 

★Connyさんポチッとありがとうございます～～(^^ゞ

★Taddyさんへ
キューブリック作品、お好きなんですね～(*^^)v
で、舞台は映画とはまた違う解釈もあり、
過激シーンもそれほどに気にならず観られました。
ですから、映画がお好きな方には物足りないかもですね。
by collet (2011-02-28 13:13) 

キューブリックの『オレンジ』・・・
瞼開いてでも見た方がいいですよwww
by syun (2011-03-22 00:51) 

瞼開いてでもとは～～ナント！シンドソウ・・・
とても耐えられそうにありませんわ～(^^ゞ
by collet (2011-03-23 12:54)