遥かなる絆：第３回「祖国へ」

　

留学して３ヶ月が経ち、久枝は劉成の紹介で日本語教室を手伝うことになりました。
そこは帰国を控えた残留孤児やその家族のために日本語を教える教室だったんですね。
そこで、そんな生徒の１人で、眼科医という安定した職場があるにもかかわらず、
生活に不安がある日本へ帰国するという生徒に、その理由を尋ねるのです。
すると彼は、中国に昔からある言葉を教えてくれます。

葉落帰根
葉は落ちて根に帰る

他郷をさすらう者も落着く先はやはり故郷だという意味で、
「わたしは本当に日本へ帰りたいのです！」
と残留孤児の一途な思いを、初めて久枝は聞いたのでした。

そしてそれは、もちろん久枝の父幹も同じ思いで、
とにかく自分は日本人だ！日本の本当の両親に会いたい！と６年間、
日本赤十字社に２００通もの手紙を送り続け、ようやく１通の返事が届いたのでした。

すると、それには実の両親を捜す準備があるから、分かる事を知らせるようにとあったんですね。
でも、玉福が覚えているのはわずかな事だけです。
それで、玉福を養母の元へ連れて来た占い師が、何か知らないかと訪ねて行くのです。

初めは養母のことを思い、何も教えなかった占い師ですが、
結局は、たとえ日本に帰っても母の恩を忘れない男だと信じるからと、
知っていることを教えてくれ、直ちに日本赤十字社にその旨の手紙を送ったのです。
そしてその間、また月日を費やし、ようやく愛媛に住む城戸弥三郎の長男だと判明するのですが、
そうなるとなったで・・・養母との別れや養母のこれからの生活も心配と、
辛い思いにかられる玉福だったのです。

それにしても、当局の検閲によって破棄される可能性もあるわけで
同じ内容の手紙をいろんな場所から投函したとありましたね。
我々なら他人の手紙を勝手に破棄するなんて考えも及びませんが、
何事も検閲された時代です。ましてや日中国交前の日本への手紙ですものね。

そんな苦労があり、ようやく親子だと判明し、帰国の手続きも順調に進んでいるかと思いきや、
今度はあの文化大革命のお陰で、出国の許可が下りなくなってしまうのでした・・・

ところで、愛媛に住む両親を久々にお目にかかる浜畑賢吉さんと伊藤榮子さんが演じてましたが、
死んだと思っていた息子が生きていると知り幹は生きとったらいくつになったとの父の問いに、
２４歳と１１ヶ月ですとよどみなく答えた母がとても印象に残りました。
ずっと、忘れずに・・・いえ、忘れられずに過ごしていたのでしょうね・・・
そんな母を演じる伊藤さんの涙にこちらもウルウルしてしまいました

また、久々にお目にかかるといえば、
久枝の教室へ３０年前の父を知っていると訪ねてきた老婦人池谷美和子役の方、
ナンカ懐かしくて、この方知ってると思いながらなかなか思い出せなかったのですが、
エンドタイトルでの出演者の名前でようやく思い出しました。
長年、名脇役として舞台、映画、ドラマなどで活躍されてる大塚道子さんでしたね。
随分、髪が白くなってらっしゃいましたがとてもお元気そうで、
相変わらず特徴のあるハッキリとしたセリフ回しで、とても懐かしく思いました。

それから今話は、せっかく親しくなった久枝と劉成の間にも亀裂が生じましたね。
劉成が言った君は歴史を知らな過ぎる
これはまさしく久枝がクラスメートに言われた言葉と同じです。
時代の波に翻弄され、その波から逃れることもできず犠牲となった人達、
そんな人達の苦しみを理解できるなどとは、
たとえ娘でも簡単に口にしてはいけないと久枝は悟るのですが、
ここは観てるわたしも久枝と同じ様に気落ちしそうになりました。
この世の中、確かに経験者でないと分からないことは山ほどあります。
ただ、経験してない事が罪という訳では決してないしと・・・

でも父と娘の親子愛も描くこのドラマは、そんな重苦しい気分では終わりませんでした。
娘の誕生日にかけた電話の最後に言った父の言葉、
まだまだお前は子供や
この父の愛情溢れた言葉に救われた思いがしたのは
きっと、わたしだけではなかったと思うのですが・・・

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コメント 19

この記事じっくりという程ではありませんが、斜め読み程度で読ませていただいています（＾－＾）

葉落帰根、高校の時の漢文を思い出しますねえ。何となく意味はわかりました。でも、残留孤児の方の思いは深いと言うか、思いも寄りません。

眼科医という職業を捨ててでも日本へ帰りたいという思い・・・。
想像するだけでも涙が出てきそうですね(>_<)。

by dolfin (2009-05-06 18:41) 

今回は見てしまいました。

> 葉落帰根

海外での生活が通産１７年ほどになった私にも、この言葉の意味が少しわかります。「退職後の地は日本」、これは譲れないところです。今帰りたいわけではありません。でも、社会がすさんで、年金が出なくなって、暮らしにくくなっても、やっぱり最後は日本。壬生菜の漬物や、一夜干しのカレイで朝食を食べたいものです。春には桜を見たいものです。そんな、選択の自由がある私は幸せだと思います。

検閲の話ですが、1995-1997年、私がベトナムにいたとき、書簡は基本的に当局に開封され、電話は聞かれていました。今は、変わったとは思いますが．．．

＞　２４歳と１１ヶ月ですとよどみなく答えた母
これが私にとって今回の圧巻でした。

そして、また、中国での育ての母親が、とてもきれいで上品なので驚きました。日中のお母さん、すばらしいです。

すばらしいと言えば、今回の「天地人」も．．．（まだ言うか？）


by 雀翁 (2009-05-06 19:50) 

今回の放送は、ちらっとだけ観ましたので、コメント出来ませんね。ただ字幕の多いドラマでしたね。
by たいちさん (2009-05-07 09:49) 

右脳を刺激される話ですね・・・
by kinkon (2009-05-07 10:46) 

★dolfinさんへ
はい、ナナメでもタテでもお読みくださり、
こうやってコメントをいただき嬉しく思ってますよ～～＾＾；

このドラマでは毎回、中国の古くからある言葉が登場するようです。
それがまた、心に響くんですよね～(ーー;)
でね、漢文の授業なんか大嫌いだったのに、
今頃こうやって、字にして言葉の持つ意味に感心してますの！
学生時代にこうやってればね～～(~o~)


★雀翁さんへ
やはり、海外生活の長い雀翁さんならではのコメントですね～＾＾；
最後は日本へ帰りたいとはＴＶなど海外生活の長い方へのインタビューでも、
皆さん、よくおっしゃってますものね。
良かったですね～選択の自由がある身で!(^^)!

考えたらベトナムも共産圏です。
５年ほど前ですが、わたしも行くまでは気にしていなかったのに、
あちらで主だった建物に必ず赤い国旗が翻っているのを見て、
今さらながらにここは共産圏なんだと思い出したのを覚えています。
それにしても、企業秘密も何もあったもんじゃないですね～(>_<)

中国のお母さんを演じてる岳秀清さんは、綺麗な女優さんですね。
ただ、農村の母にしては垢抜けて美しすぎのようで～(ーー;)
そこんとこが、最初から気になっていたのですが・・・

で、、、すばらしい？天地人が？？ふぅ～ん・・・(；一_一)
by collet (2009-05-07 13:11) 

★たいちさんへ
今はまだ舞台の中心が牡丹江なので、大半が中国語ですね。
ですから、字幕が多いのは仕方がないかと・・・＾＾；
それと、登場人物の名前も出ますので、分かりやすいと思います。


★kinkonさんへ
あっ、右脳ね～そうですか！確かに左脳ではないような？
うぅ～ん、でもわたしにはよく分かりませ～ん(>_<)。。。
by collet (2009-05-07 13:46) 

テレビは観ていませんが、、（ってゆーか、この番組自体を知らなかった）。

＞葉落帰根

心にずっしり響くことばですね。

以前、残留孤児の人たちが日本への帰国を希望する話を聞くたびに、日本人として過ごしてきた年月を遥かに超える日々を育ててくれた中国人の養父母を置いてまで帰国したいものかと思ったことがありましたが、それは自分が常に根っこに戻れる状態にあるからなんでしょうね。

結婚して外国で生活している邦人の方が亡くなる直前に、日本に帰りたいと言ったという話を聞いたことがあります。
人間にとって母国とは何なのだろうかと考えさせられました。

by maki (2009-05-07 15:08) 

確かに、
＞　農村の母にしては垢抜けて美しすぎのようで
ですね。

ちなみに今週は「敵は本能寺」ですよ～
きっと見所満載ですよ～
吉川晃司はお嫌いですか～
見なくてもいいけど．．．

by 雀翁 (2009-05-07 15:40) 

★makiちゃんへ
＞自分が常に根っこに戻れる状態にあるからなんでしょうね。
そうですね、わたしもそう思います。
だから、そんなこんなで久枝と同じく気が重くなっておりました～(;_;)

それとね、このドラマを観ていると祖国はもちろんだけど、
実の肉親に会いたいという気持ちの方が大きいように思います。
まあ、それは残留孤児に限らず、
親の顔を知らない子供達はみんな同じでしょうが・・・

で、来週はいよいよ養母との別れがあるような？
ああ～いったい、どないなんねんやろ～(>_<)


★雀翁さんへ
でしょう～～！最初からそれがずっと引っ掛かってましたの～(~o~)

で、、、エライお誘い下さって～うむ？天地人の回しモンか！？(~o~)
「敵は本能寺」ねェ・・・吉川晃司はどーでもエエけど～
彼にくっついてる長澤初音も兼続同様に気に入らんもので～～(ーー;)
わたしの頭の中の初音はあんなピチピチしたギャル顔ではなく、
もっと細面で、男心をソソルような切れ長の目が妖艶な大人の女ですの～
あっ、まさみちゃんは彼女なりに頑張ってるようですが、やはり若すぎ！
うぅ～ん、初音役は誰がいいかなァ～(＾＾？

by collet (2009-05-07 17:58) 

日本人とは何なのか？
実はとても意味深な問題ですね。

本当の歴史・・・これを知るには？
私のブログを全部読むしかないですね。（笑）


by 降龍十八掌 (2009-05-07 21:27) 

★降龍さんへ
あははは・・そうですね～
あの見たことないような難しい漢字がイッパイのね！
あれを見る度にこの漢字を探し出すのも大変だろうにと感心してますよ～
ご苦労様です!(^^)!
by collet (2009-05-08 12:39) 

こんばんは～
まず、浜畑賢吉さん、懐かしかったです。
「男は度胸」大好きでした！
そのギャップに驚き（笑）でした。

＞２４歳と１１ヶ月ですとよどみなく答えた母がとても印象に残りました。
片時も忘れた事が無いのが、ジンと伝わってきましたね。
でも、２４才と言って、ひいふうと指折るくらいで無いとちょっと不自然かも？
この考え、冷たすぎるかしら？

私も、中国のお母さんのキレイ過ぎなのと若すぎなが気になっていました。
それと、若き玉福とお父さん幹の体格の差。
グレゴリー・ウォンも加藤健一も役者として不足は有りませんが

そんな事は、どうでも良いこのドラマ、明日の展開が楽しみです。

そうそう、娘が留学してたとき、「日本のパスポートを持っている幸せ」を
言っていました。
アジアのほかの国の留学生は、裕福な家の子でも出入国が難しくて
アメリカでグリーンカードを貰えるまで頑張る子達も多いそうです。

生れた国で、親元で育った人間には、親に会いたいと言う切実な気持ちは
理解できないでしょうね。
by シェルティ (2009-05-08 21:24) 

私もこのドラマで、やっと篤姫ショックから抜けられそうです ♪
by わか (2009-05-08 23:27) 

小さい頃、「中国残留孤児」という言葉をニュースで繰り返し聞いて、自分には預かり知らぬところの悲劇、と思った記憶があります。このドラマを拝見して、教科書で勉強した歴史といまさらながら頭の中でつながり、こういうことだったのか、と理解する一方で、当事者とその家族の苦労を見るにつけ、こころにどっっしりと・・・・(*_*)　中国のお母さんも良い方なので、別れるにしてもどんなにつらいか・・・
きっと、北朝鮮拉致被害者の方々も、同じような思いをされている（た）のでしょうね。

今日も放送ありますね。絶対見ます。

↑雀翁さんとの「天地人」についてのやりとり、笑いました。
雀翁さんには悪いですが、「早く次の番組が始まらないかな」と思っております。
by Bonheur (2009-05-09 13:10) 

★シェルティさんへ
「男は度胸」って、日曜の夜８時からの青春ドラマだった？
じつは、わたしが彼を初めて知ったのはそのドラマだったのですが～
で、、、あれから比べると・・・確かに！(>_<)

２４歳のセリフの件、細かいですね～～(~o~)
確かに我々なら、２４年も経つので指折り数えてもあるでしょうが、
この場合、ドラマとしての１番の泣かせ所としてああしたのでは？
だって、お陰でわたし達はグッときましたものね～ヤラレタって感じ！？

＞若き玉福とお父さん幹の体格の差。
あははは・・そうそう！
加藤健一さん、意外に小柄で驚きましたね～(~o~)

＞そんな事は、どうでも良いこのドラマ
これも、そうそう!(^^)!
これからも楽しみましょう～～

お嬢ちゃん、いい経験をしましたね。
きっと、親の有難味も感じた事でしょう。


★わかさんへ
篤姫ショックから抜けられそうって～！
わかさん、ちょっと物持ちが良すぎですよ～(~o~)
by collet (2009-05-09 16:21) 

★すわんちゃん、ポチッとありがとうね～～＾＾；


★Bonheurさんへ
そうですね、Bonheurさん世代にとっては、
我々よりも遠い昔話だったでしょうね・・・
ましてや、この幹さんのお話は日中国交前のお話ですから余計です。
とにかく、戦争が招いた悲劇ですね・・・
どうぞ、今夜もご覧下さいね～＾＾；

あ～、それにしても、
北朝鮮拉致被害者の方達も早く祖国の地を踏ませてあげたいです！！

それから、天地人の後の大河もあまり期待してないcolletです～～(~o~)
by collet (2009-05-09 16:45) 

こんばんは！
「男は度胸」は柴田錬三郎の小説を原作とした時代劇で
八代将軍吉宗の青春記だったと思います。
その吉宗役が、浜畑賢吉さんだったような。。。
そう言えば、「青春とはなんだ」シリーズに出てましたっけ？
記憶がおぼろで～（笑）

劉成（フービン）の背景にも、ぐっと来る物がありました。
彼と久枝との関係は進展するのかな？

ＧＷにまとめて見た「ハゲタカ」と言い、ＮＨＫは良い俳優を使って
濃いドラマを作りますね。
でも、「天地人」は、私も×です。（２回でリタイア）
見ている友人は、年齢設定が無茶苦茶すぎると言っていました。
雀翁さん、ごめんなさいね。
by シェルティ (2009-05-09 19:49) 

colletさん、こんばんは。
今日の放送も、涙なしには見られず・・・　おかあさ～ん！！！と叫びそうになりました。。
colletさんの記事、楽しみにしています。

ところで大河・・・次回も期待できそうにありませんかね。。
by Bonheur (2009-05-09 23:33) 

★シェルティさんへ
そうよね！「男は度胸」は吉宗役のですよね！
わたしもあれで、吉宗ってエエヤツやん～と思った覚えがありますわ～
で、彼のＴＶ初主演はその青春シリーズでしたよ。
ただ、タイトルも共演者も覚えがないのですが～～(>_<)

＞彼と久枝との関係は進展するのかな？
この件に関しましてはノンフィクションなので、どうでしょうね？
わたしもチョイト気になりながら観ています～＾＾；

で、、ここでも言いますが・・・(~o~)
天地人は主役級にミスキャストが目立ちます。
それと、これはストーリー上、若者ばかりが集まるので仕方ないのですが、
その場を引き締めるベテラン俳優がいないのも原因かと・・・
でね、肝心の脚本よね～
とにかく、泣き虫兼続にしたのが１番気に入らないcolletです～(~_~;)


★Bonheurさんへ
ハイ、わたしもウルウルでしたよ～(;_;)
またお付き合い下さいね～～

次回の大河ね・・・わたしとしては、もう少しお若い方に演じてほしかった！
だって、３０そこそこで亡くなる役を４０過ぎが演じなくてもと思い・・・
おっと、↑シェルティさんからツブテが飛んできそうだァ～～(~o~)
by collet (2009-05-10 12:24)