亡きチャン・ジニョンによせて・・・

もう２ヶ月が来ようとしていますが、先月の９月１日に、
わたしの好きな韓国女優のチャン・ジニョンが亡くなりました。
日本では無名に近い名前ですが、本国では最も権威あるといわれる、
青龍映画賞主演女優賞を２度も受賞するほどに活躍していた女優です。
それが昨年９月に健康診断で胃がんが発覚し、１年間の闘病の末に逝ってしまったのです・・・

普段はあまり韓国芸能ニュースなどは見ないもので、つい最近、偶然に知り唖然としました。
彼女の遺作となった２００７年制作のドラマ「ロビイスト」が、
今年日本でもＢＳにて放送されており、まさか闘病中だったとは夢にも思わず、
きっと、このドラマの後には映画出演が待っているのだろうと考えていたのです。
それで、そんな彼女を偲び、わたしが観てきたチャン・ジニョンをここに残しておこうと思います。

一説では１９７４年生まれといわれていますが、１９７２年が正しいのでしょう。
１９９２年にあったミスコンが縁で芸能界入りし、
当初はバラエティのアシスタントやＣＭモデルをしていたそうですが、
１９９７年のドラマ「私の中の天使」での主役をきっかけに女優の道に入ったそうです。
そして、１９９９年の映画「愛のゴースト」で脇役ながらも映画デビューを果たし、
その後は映画女優として、スクリーンが活躍の場となったのです。
でも、２０００年のソン・ガンホと共演した「反則王」や
シン・ヒョンジュンの恋人役を演じた「サイレン」などでは、
まだまだ主役の傍に佇むお姫様的な役柄で、
当時の彼女のトレードマークだったロングヘア姿で可愛さだけが目立つ女優でした。
それが、２９歳となってようやく掴んだ主役作品の２００１年「鳥肌」では、
その長い髪をバッサリ切り、ショートヘアでイメチェンし、
タバコをふかしたり、アザだらけになったりと今までにない役柄を演じたのです。
そして、その熱演が認められ、初めての青龍賞主演女優賞に輝き、
また海外でも受賞したりと、正真正銘の一流映画女優の仲間入りを果たしたのでした。
ああ、でも・・・そんな彼女の出世作がわたしは観れてないのが悔やまれる～～

そんな沢山の賞を受賞した「鳥肌」でしたが、あまりにも内容がハードで疲れたからと、
今度はホッコリと温か味のある映画を作ろうと、同じスタッフで計画し制作したのが、
２００２年の「オーバー・ザ・レインボー」でした。

じつは、わたしはこの映画でチャン・ジニョンという女優に初めて出会ったのです。
当初は共演者のイ・ジョンジェ目当てに観たのですが、
相手役を演じる彼女の爽やかな雰囲気やとても素直で自然な演技に惹かれたのです。
また、映画自体も記憶喪失になった男が思いを寄せていた女性を
同じ写真クラブだった彼女が一緒に探し出すという内容で、
ただのラブストーリーではなく、恋人は誰か？と推理する面白味もあり、
ハッピーエンドの心地良さと共に観終えた時、心がホッコリする映画だったのです。
ちなみに、この映画はわたしの好きな韓国映画のベストテンに入るほどのお気に入り～

そうやって、彼女を知り出演作を追いかけて・・・
２００３年「菊花の香り～世界でいちばん愛されたひと」では、
まるでその後の彼女を描いたかのように、愛する人を残し逝く女性を演じ・・・

つづいて、鎌田敏夫作「２９歳のクリスマス」のリメイク版「シングルズ」では、
日本のＴＶで山口智子が演じた役を軽妙に演じ、
この演技で２度目の青龍賞主演女優賞を受賞したのです。

ただ、その後何故か？２年間ほど仕事をお休みしてしまいます。
そして２００５年に「青燕」で久々の登場となるのですが、
以前に比べ、グッと大人の女となり、可愛さよりもセクシーさを強く感じたのを思い出します。
もしかしたら、３０歳を過ぎいつまでも可愛さだけではダメとのことで、
この時からセクシー路線への変更がなされたのかもですね。
ただ、わたしとしては彼女の爽やかな雰囲気が好きだっただけに、
ヤケに露出の多い衣装が多くなったのを見て、チョッピリ残念に思ったのですが・・・

ところで、この「青燕」は彼女にとっても特別に思い入れのある作品だそうで、
先日の釜山国際映画祭では故人を偲び、特別上映されたそうです。
監督が「鳥肌」と同じユン・ジョンチャン監督で、
日本植民地時代の韓国初の女性飛行士パク・キョンウォンの生涯を描いています。
監督のお話では当時、釜山映画祭１０周年記念の開幕作として上映決定していたそうですね。
ところが、後半部分の編集が遅れやむなく中止となったそうです。
彼女も釜山映画祭での公開を望んでいたとかで、
こういう理由で公開されることになり胸が痛いが、天国の彼女も喜んでいるだろうとお話でした。
この映画、わたしはすでに韓国版で観ましたが、
彼女も久々の復帰作として日本語にもチャレンジし、力のこもった演技をしています。
また、日本人俳優も多く出演し、韓国映画ではお馴染みの仲村トオルも出演です。
残念ながら、わたしが望んだ大きなスクリーンでは観られなかったけど、
ここへきてようやく、来年早々には日本でもＤＶＤ発売されるそうです。
そうなればレンタルもされるでしょうから、沢山の方に観ていただけると喜んでいます。

そして映画ではこれが最後の作品となりました２００６年「恋愛、その耐えられない軽さ」

残念ながらわたしは未見ですが、
この映画ではキム・スンウ相手にセクシーなホステス役を熱演してるそうで、
これでも大韓民国映画大賞女優主演賞に輝きました。
この受賞シーンは偶然目にする機会があったのですが、ノミネートされておりながら、
じつは前年も彼女が受賞しておりプレゼンターとして壇上に上がっていたのです。
それで名前が記された封筒を開き、それを見て一瞬絶句し少しの沈黙の後、
涙ながらに「わたしです・・・」と言った姿が忘れられません・・・

まだ３７歳という若さで亡くなった彼女を不憫に思いながらも、
１年間の闘病中、献身的な恋人の看護を受けていたと知り、
そして、その愛する人と亡くなる前には結婚式も挙げていたと聞き、
女優としてはまだまだ道半ばだったろうけど、
ひとりの女性としては、短いながらも幸せな一生だったのだと何だか安心したわたしです。

チャン・ジニョン、ここにもあなたの演技に惹かれたファンがいます。
もう次回作は観られないけど、あなたが残した作品はいつでも観ることができます。
そしてまた、それらを観てはあなたを思い出すことでしょう・・・

タグ：韓国女優 チャン・ジニョン 出演作

コメント 18

この女優さん、存じ上げませんでした。
こうしてお写真を拝見すると、健康的で、がんだったなんて微塵も感じられません。美人薄命、、、なんでしょうか。
「29歳のクリスマスの」リメイク版に主役で出ていたのですね。
レンタルビデオやさんで探してみようと思います。

ところで、今日は「仁」がありますね～！
私は、会ってみたい当時の人は特にいないのですが、あの時代の真面目なお侍さんたちと一緒に働いてみたい、という気持ちがあります、もちろん男子として。寺子屋で学んだりもしてみたいです～。妄想天国。

by Bonheur (2009-10-25 15:07) 

ぱっちりした目鼻立ちのかわいい女優ですね。
写真をアップで見たとき、一瞬長澤まさみに似てるかな？と思いました。

その彼女が癌で亡くなったということですから、こんなに若い人が・・・？と思いましたが、若い時の写真だったんですね。

生き方の問題だと言えばそれまでなんですが、いつもの自分流と言いますか、少しでも健康でありたいと思っていますので、適度に体を動かすことと、意識して体にいい食べ物を食べたいと思っています。。。
面白味がないコメントでごめんなさい。


by dolfin (2009-10-25 15:52) 

★Bonheurさんへ
ハイ、ご存じないのは当たり前だと思いますよ。
いわゆる韓流ファンといわれる方でもご存じないことが多くて～(・へ・)
こちらのアップ写真はみなわたしが好きなショットを載せました。
ですから最近のではありません。

＞あの時代の真面目なお侍さんたちと一緒に働いてみたい
コレね、何とも職業婦人のBonheurさんらしい願望ですね！
もしかしたら、松下村塾に通ってたりしてね～～(~o~)
何だか考えるだけでもワクワクしますね！
ハイ、今夜も楽しみです～!(^^)!


★dolfinさんへ
あっちもこっちもお付き合いありがとうございます～＾＾；
で、、、１番目の写真は３０歳の頃のですが、可愛いでしょ、
これは大学生役の時で、わたしが１番好きな彼女の写真です。
うぅ～ん、そういえば、長澤まさみちゃんに似てるかも・・・

それから、わたしの経験上・・・
いくら注意をしても病魔に侵されることはあると思います。
でも、日頃の運動や食事の注意は術後の早期回復にハッキリと表れますよ。
この度はこのお陰でわたしも随分助かりましたから～(*^^)v
これからも気を付けてお過ごし下さいね！

＞面白味がないコメントでごめんなさい
いえいえ、とんでもない！！
こうやってコメントをいただくだけで嬉しいですよ～～!(^^)!
by collet (2009-10-25 16:48) 

colletさん、こんばんは。私の韓国旅行記が終わったら、 장　진영さんのことを記事にしようと考えていたところだったのです。9月1日に亡くなってから49日の法要も済んだということですね。
彼女はスキルス性胃がんという、極めて悪性度の高い進行性胃がんだったようです。私の叔父もこの病に罹患し、診察を受けてから3カ月で亡くなってしまいました。一般的に若いと進行度が早いと言われますが、このスキルス性胃がんは特別らしいですね。

私が彼女を知るきっかけは、2年半前に韓国語学校へ通いだした最初の先生（東京外語大大学院生　年齢は30ウン歳既婚子供2人）から借りた、1枚のDVDでした。韓国版でしたので日本語字幕はなく、韓国語字幕で観ましたが、学習し始めの時だったので会話の中身が何も分からず・・・ただ、彼女の美しさだけが印象に残っていました。colletさんも書かれている「국화꽃향기」です。


by sarahe (2009-10-25 18:21) 

こからという時に癌で亡くなるなんて本人はもちろん周りも悔しいでしょうね。
だからこそ逆に人々の中に長く行き続けることにもなるのかもしれませんが。
by maki (2009-10-25 23:13) 

すごい美人さん ♪

by わか (2009-10-26 12:41) 

賞のプレゼンタ－が、発表の場で自分の名前を見たら．．．それが仕組んであったことでないなら、ほんとうのその人が見えられるんですね。なんだか、そのシ－ンが目に浮かびました。

一人の人間（女優に限らず）の成長を追っていくのは、面白いですね。うちには2人の子供がいますが、彼らの成長過程を見るのは楽しいです（もちろん、他人事ではないので、苦しいこと、悲しいこと、いやなこともたくさんありましたが）。

今日1日をちゃんと生きて行きたいと思います。

ところで、「오버 다 레인보우」は、どうしても「オボダ　レインボウ」としか読めない私です。ハングルにも是非カタカナを導入して欲しいものです。

by 雀翁 (2009-10-26 12:53) 

★saraheさんへ
そうですね、彼女はクリスチャンなので４９日は関係ないかもだけど、
それだけの日は過ぎたということですね。
で、スキルス性だったのですか・・・そりゃ、難しかったでしょうね。
それにしても今から思うと、
「ロビイスト」の頃から痩せてるのが気になっていました。
あの頃から本人には何らかの体調変化があったんじゃないかしら？
ただあのドラマはつまらなくて１回観たきりでしたが・・・(/_;)
とにかく、わたしにとっては突然の訃報でショックでした。

菊花の香りの頃もまだ以前のイメージのままでしたが、
わたしは彼女の飾り気のないお芝居が好きでした。
ただ、主演女優としてやっていくには
年齢と共に変えなきゃいけなかったんでしょうね。
でも、この記事の最後の写真をアップするのに
２年前のあのシーンを見直しましたが、
素の彼女は昔の印象とチッとも変わっておらず嬉しかったです。


★makiちゃんへ
そうね、まだまだ女優としてやっていけたでしょうにね。
わたしも彼女のお母さん役を見たかったです～

by collet (2009-10-26 13:52) 

★わかさんへ
セクシータイプがお嫌いなわかさんには、
若かりし頃の彼女の方がお気に召すでしょう。
１番上の写真なんてイイでしょう～～？(*^^)v


★雀翁さんへ
封を開けたときに自分の名前を見て、一瞬いたずらかと思ったそうです。
で、見直して確かめてから「わたしです」と言ったんですって～＾＾；

＞成長を追っていくのは、面白いですね
そうですね、それが自分の子供ともなると余計だと思いますよ～
もちろん、親としての責任もあり大変でしょうが！

＞どうしても「オボダ　レインボウ」としか読めない
ああそうなんですか～(~o~)
わたしはハングル文字に関してはサッパリなもので・・・
これだけ映画が好きで観てるくせに、
saraheさんやmakiちゃんのように勉強する気の全くないアカンタレです～(;_;)

by collet (2009-10-26 14:41) 

colletさんがチャン・ジニョンさんの訃報を知らなかったなんて
びっくりしましたが・・・
私は彼女はキム・ゴンモのMVでジェウクと共演した姿しか知りません。
でもそのMVはファンの間でも好評で
私も彼女の清潔な、かわいさが好きでした。
お葬式では、ジェウクが弔辞を読みました。
女優としていつも向上心を忘れない方だったようですね。
ジェウクとは、俳優のボランティア団体「タサモ」で一緒だったのです。
弔問に来た彼の憔悴した顔は見ていて辛かったです。
ジンシルさんが急逝された時、「ジニョンもあんなことになるし（病気がわかったのでしょう）、どうなってるんだ・・・」と言ってキム・スンウさんと泣いていたという記事を読みました。

というわけで彼女の作品、何か観たいと思っていましたが、よくわからず。
colletさんの解説を読んで、「青燕」（キム・ジュヒョクと共演ですね！）と
イ・ジョンジェとの「オーバーザレインボー」は是非見たいな、と思いました。
詳しいお話、ありがとうございます！
そして改めてジニョンさんのご冥福をお祈りします。

by 虹子 (2009-10-26 15:11) 

★虹子さんへ
いやぁ～本当に知りませんでした～(ーー;)
普段からネットでも芸能ニュースはあまり見ないんですよね。
ましてや、韓国のだと日本のＴＶではしないしね・・・
ですから、闘病生活に入ってることも知らずにいたのですが、
亡くなったのがわたしが退院した頃と同じで余計に驚き・・・
一瞬、信じられず何度も名前を見直しましたよ～(T_T)
それでジェウクが弔辞を読んだという記事も読みました。
彼との映画での共演はないけど日頃から親交があったのね。

それから虹子さん、オススメはその２作品です！ぜひ、ご覧ください～～
「青燕」ではキム・ジュヒョクと「シングルズ」に続き共演しています。
日帝時代の物語なので日本人としたら
ちょっと複雑な思いを抱くかもですが見応えはあると思いますよ。
で、「オーバーザレインボー」でホッコリしてくださいませ～～＾＾；
１番上の写真はその時ので、わたしが１番好きな彼女です。
by collet (2009-10-26 16:55) 

　この女優さんは存じ上げませんでしたが、とてもキュートな方ですね。いつか出演作品を拝見したいと思います。
by おぉ！次郎 (2009-10-26 22:00) 

いつもは覗き逃げしていますが＾＾
ここでは一言・・・

オーバーザレインボーcolletさんに薦められて見ましたね～

ほんとに残念です。
このニュースでウリ　ジェウクの涙が韓国で報道されました。
彼女は、福祉活動にも熱心で、天使ような心を持っているとも
報道され惜しまれていました。
美しいのは、姿だけではなかったのですね

ジェウクが弔辞を読んで送ったの・・・
韓国語の記事を読みながら、とても悲しかったです。


by nuna (2009-10-27 13:32) 

残念ながら、私は彼女を観た事ありません。韓流ファンの妻は、ドラマ等で知っていましたね。機会あればＤＶＤなどで観たいですね。
by たいちさん (2009-10-28 15:42) 

★おぉ！次郎さんへ
ハイ、昔は清潔感のあるキュートな雰囲気でしたが、
最近はそれにセクシーさも増していたんですよ。
わたしが思うに、珍しいタイプの韓国女優だったんだけど・・・
どうぞ、機会があればご覧くださいね。


★nunaちゃ～～ん！
ふぇ～～ん、ジニョンがいなくなっちゃったよ～～(T_T)。。。
１番好きな女優だったのにィ～～(T_T)(T_T)

で、、、そうだ！あの時に観てくれたんだよね～～
それで、良かったって言ってくれたんだった！

＞天使ような心を持っているとも報道され
そうなのね、、、わたしは俳優のプライベートにはあまり興味がないもので、
本当に自分が感じたことしか頭にないんだけど、
彼女の場合はとても気さくそうだと思ってました。
そしたら、先日ユン・ジョンチャン監督がそのように語ってらして嬉しかったです。

ジェウクが弔辞を読んだのは知ってるけど、内容は知りません。
またお暇な時に教えてね～～
ああでも、最後に最愛の人に巡り合えて良かったです・・・


★たいちさんへ
奥様はドラマでご存知でしたか～＾＾；
彼女は映画中心の女優でしたが、最後の仕事がドラマだったので、
少しは知名度もアップしたかと思います。
また機会があれば、ご覧下さいね。
by collet (2009-10-28 17:29) 

colletさんｍご存じなかったんですか？
１年前から闘病なさってて、アメリカ行ったりしてたので
良くなったか、逆に悪化したのかって思ってました。
そうしたら、訃報が流れて･･･。
やはり３７では若すぎますね。

日本はわかりませんが、韓国では亡くなっても
あれこれ遺品を公開されたり、過去の出来事が報道されますね。
自殺された方など、救急車を呼んでいる家族の音声まで
公開されたようです。
トラブルも多いみたいだし･･･気の毒ですね。
by すわん (2009-11-05 00:50) 

日本の芸能ニュースなら、自分が興味あろうがなかろうが、
勝手に目や耳に入ってくるけど、いかにせん、韓国だからね～(>_<)
でね、これは映画のことが知りたくて、
久しぶりに韓国系サイトをあけて偶然に知りました。
もう、ビックリしたのなんのって～～(＠_＠;)
それにしても、何でもっと早くに見つからなかったのか・・・
自分のことを思うにつけ、残念です。

＞トラブルも多いみたいだし･･･気の毒ですね。
ふぅ～ん、韓国の芸能人は亡くなってからも大変ね～(;_;)
ファンも日本より熱いのかしらね？
by collet (2009-11-05 15:59) 

★調布のおじさん「青燕」ご覧になられたんですね。
何の関係はございませんが、嬉しいです～＾＾；
by collet (2010-10-06 14:34)