SSブログ

映画『その木戸を通って』 [日本映画]

CIMG6442.JPG T0006818a.jpg

昨年2月に亡くなられた巨匠市川崑監督の唯一、劇場公開されていなかった作品です。
その木戸を通って
以前より、観たいと思っていました。
そして、朝10時1回きりの上映にどうにか間に合い、観て来ました。

これは、ハイビジョン試験放送のために、日本では初めての長編ハイビジョンドラマとして、
1993年8月に完成し、フジテレビで放送されたそうです。
ただ、残念ながら、そのテレビを観ることがなかったわたしは、
15年後にこうやって、映画館の大きなスクリーンでようやく観ることができました。
とにかく、これまでは人の目に触れることもなく、眠っていたそうで、
きっと、今は亡き市川監督も何処かでお喜びでしょう・・・

原作は山本周五郎の短編小説集「おさん」に収められています。
残念ながら、わたしは読んでないのですが、
聞くところによると、とてもとても短い作品だそうです。
そしてそれを市川監督はずっと映像にしたかったそうです。

そんな物語のあらすじはと言いますと、
ある日突然に、城勤めをする平松正四郎のもとへ記憶を亡くした娘が訪ねて来ます。
初めは誰かの嫌がらせかと疑っていた正四郎ですが、どうもそのようでもなく・・・
1度は追い出すのですが、見るに見かねて娘にふさと名を付け、家で働かせることにするのです。
ただ、そのために家老の娘との縁談も破談となるのですが、
正四郎はお構いなしで、その内、ふさを愛するようになるのです。
そして、みんなに祝福され二人は祝言を挙げ、娘も生れ幸せに暮らしていたのですが、
時々、何かを思い出すようになっていたふさがある時・・・
また突然に、実際にはない木戸を通って何処へといなくなってしまうのです・・・

と、まあ何とも摩訶不思議なストーリーで、悪者は一切出て来ず、
時代劇版ラブファンタジーとでもいいましょうか?
元々、ノンフィクションが好きなわたしとしては、モヤモヤの残る思いでしたが、
映像は確かに美しかった~~[ぴかぴか(新しい)]
タイトルが「その木戸」ですからね、木戸と共に、竹やぶの笹が頻繁に登場し、
鮮やかなグリーンがとても印象的に使われていました。

出演はその正四郎に中井貴一、今や演技派といえる彼ですが、15年前も立派なもの~[ぴかぴか(新しい)]
冒頭と終わりでは17年後の正四郎を演じているのですが、
これが上手い!さすがにアップになると今のようなシワはないのですが、
セリフや動きで見事に老武士を演じており、今更ながら驚きました。

そして、主役のふさには当時はトレンディドラマで活躍していた頃でしょうか?
浅野ゆう子が陰のある美しい娘を演じていました。
ただ、観てる時からずっと思っていたのですが、何かが足りないんですよね。
ほんのりとした儚さといいましょうか・・・
いつ消えてしまうか分からないような危うさが、もう少しあればと思ったのです。

それと、市川作品には欠かせない俳優達が脇を固めています。
まず、正四郎の父には石坂浩二が・・・
デビュー当時は2枚目俳優だった石坂さんも15年前といえば、
もうこんな老け役をなさってたんですね~と、意外に思ったわたし・・・
そして、この方も3年前に亡くなられましたね、ムーミンの声でお馴染みの岸田今日子さん、
こちらでは、井川比佐志と人の良い夫婦役で正四郎の母代わりのような使用人を演じていました。
あの独特のセリフ回しを久しぶりに聞くことが出来、嬉しかったです。
そして、こちらも今は亡き名優のフランキー堺さんがとてもイイ役をなさってました。
正四郎の父の友人で、離れて暮らす父の代わりに何かと気にかけ、
物語の中でも出番も多く、重要人物として好演しています。
で、正四郎の友人でもあるその息子には、
昨年の「篤姫」では瑛太帯刀の父役でした榎木孝明が、若くて凛々しい若侍での登場でした。
いやはや、月日の流れのナント、早いこと!早いこと!!

昨年秋にこの映画の舞台あいさつがあった時、
その場で「ビルマの竪琴」以来、数多くの市川作品に出演してきた中井貴一が語ったそうです。
「市川監督の作品で舞台あいさつをするのはこれが最後だと思うと、
悔しい思い、哀しい思いがあります」と・・・

70本以上の作品を残した市川崑監督、その最後の未公開作品その木戸を通って
何やら、観終えて感慨深げになったわたしです・・・

あしあと(11)  コメント(17)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

「K-20 怪人二十面相・伝」 [日本映画]

bebd2.jpg

はい、言わずと知れた!?
金城武目当てで観て参りました・・・K-20 怪人二十面相・伝

これは劇作家の北村想の小説「怪人二十面相・伝」を映画化したものです。
と、言ってもその小説は読んではおらず・・・[ふらふら]
何でも明智小五郎や小林君、少年探偵団と、
江戸川乱歩作品でお馴染みの怪人二十面相が登場する小説だそうです。

監督、脚本はわたしも毎週、楽しみに観ておりました「アンフェア」など、
沢山の映画やドラマで脚本や監督を手掛ける女性監督の佐藤嗣麻子
いえね、じつは・・・あのドラマの脚本を女性が書いていたと今回、初めて知ったのです!
それで、金城君以外にも興味が湧き観に出掛けたのですが・・・

物語の舞台は1949年の日本で、架空の都市「帝都」です。
ただ、第二次世界大戦はなかったという設定で、
明治新政府によって樹立された華族制度が続いていたんですね。
で、そんな富裕層と一般庶民との間には大きな貧富の差ができてしまい、
金持ちだけを狙う大怪盗“K―20”こと怪人二十面相なる者が出没していたのです。
そして、その“K―20”を捕まえんと、
民間の警察に捜査を依頼された私立探偵の明智小五郎や軍の警察は躍起となっています。
そんな時、町の片隅の小さな貧しいサーカス小屋へ一人の男がやって来て、
サーカス団の曲芸師である遠藤平吉に大金と引き換えに、
富豪令嬢の羽柴葉子とその婚約者の明智小五郎との写真を撮って来てくれと頼むのです。
団員達との毎日の食べ物にも困る生活を送る平吉は、仕方なく引き受けるのですが・・・

出演はその数奇な運命をたどる?遠藤平吉に金城武
彼の主演は最初から決まっており、佐藤監督とは脚本の書き始めから話し合っていたそうで、
彼のアイデアも随所に入ってるそうですよ。
そして前作の「レッド・クリフ」ではアクションが一切なかった彼も、
ここでは、孔明と同じ白い鳩を可愛がりながらもアクション満載で張り切ってます。
また、先日のジョン・ウー監督との対談でも語っていましたが、
監督のこれからはどんな役をしたいかの質問に、即、一言「コメディ!」と答えた通り、
平吉は三枚目だけど、時々二枚目ということで、
茶目っ気たっぷりなアドリブを入れたりと楽しんで演じてるようでした。
それと、舞台挨拶の時、自ら語ったそうですが、
この映画ではチョッピリふっくら顔の金城君が見られます。
何でも上海、山口、福岡、熊本など各地で行われた撮影で美味しい物を食べ過ぎたようですよ~[あせあせ(飛び散る汗)]
でもね、アクションにはフランス発祥のパルクールというスポーツを取り入れたそうで、
右手首の小さな機械からワイヤーを発射して飛んだり跳ねたりと、
あれだけのアクションシーンをこなしているのだから、全部消化されてると思いますが・・・

そして、ヒロインの羽柴葉子には松たかこ
たかこちゃんのコメディエンヌぶりには定評がありますが、
いつもより濃い目のお化粧でハッとする美しさもありながら、
スットボケた芝居も面白く、金城君との相性もとても良さそうでした。
それと、後姿のヌードシーンにドキッとしましたが[がく~(落胆した顔)]
何でもあれはご本人だそうで・・・そこんとこも見所の一つでしょうか?

そんな葉子の婚約者で重要なカギを握る明智小五郎に仲村トオル
この映画での明智はいつもロングジャケットをお召しなのですが、
背の高い彼にそれがとてもよく似合い、
初登場のシーンでは思わず心の中で“ス・テ・キ”とつぶやいておりました~[揺れるハート]
また、彼にも他の出演者同様にコミカルなシーンがあり、笑わせていただきました。
ところで仲村トオル、最近の活躍は目を見張りますが渋味を増し、イイ俳優になりましたね~[ぴかぴか(新しい)]
わたしは若い頃の彼より、今の方が好きなのですが・・・

そしてこの3人のほかにも平吉のパートナーで、元泥棒で機械技術のプロ源治には國村隼
同じく、元美人詐欺師の源治の妻には高島礼子
また、二十面相ということでいろんな顔の持ち主で、鹿賀丈史や若手では要潤の顔もありました。
それと、端役での登場ですが、なかなかインパクトの強い個性派俳優の顔もあり、
きっと、この映画の続編ができた時にはそんな俳優たちの活躍が見られるのでは?
との思いを抱きながら観終えました。
佐藤監督もシリーズ化したいようにおっしゃっていましたから、
その伏線としての登場かもしれませんね・・・

なお、架空の「帝都」は「オールウェイズ 三丁目の夕日」のスタッフがCGを担当したそうで、
なかなか壮大な笑いもあるサスペンスタッチの冒険活劇だと思いました。

世界的な不景気風が吹き荒れるこの年末、
わたしにとっては、ひと時だけでも大いに楽しめた映画でした~[揺れるハート]


それと皆様へ・・・
アニメ0132.GIF
アニメ0134.GIF
アニメ0132.GIF

あしあと(12)  コメント(22)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

『三本木農業高校、馬術部』 [日本映画]

先日、予定していた計画がキャンセルとなり、急に時間が空きました。
それで、急遽、映画を観に行こうと、
以前より興味のあった映画をリストアップし、調べたところ・・・

①最後の初恋  オジサンとオバサンのラブストーリーだけかィ!?との事で興味失せ[バッド(下向き矢印)]
②幸せの1ページ  行こう行こうと思いながら、もうどうでも良くなった・・・[バッド(下向き矢印)]
③イキガミ  松田翔太君は見たいが、内容がわたし好みではなさそう・・・[バッド(下向き矢印)]
④三本木農業高校、馬術部  実話で馬が登場する!おお、コレっきゃない!![グッド(上向き矢印)]

というわけで・・・観て来ました三本木農業高校、馬術部

photo4.jpg

ご存じない方も多いかと思いますが、
この三本木農業高校とは青森県立で十和田市に実在する高校なんですよね。
何でも東京ドームが12個分入るという広大な敷地の学校だそうで、
わたしは一応、以前から、この学校の名前は知っていたんです。
というのも、鹿島アントラーズに入団し、中田ヒデ達と一緒にユース代表として活躍した
熊谷浩二選手の出身校だそうで、当時は何て読むのかも分からないながら、
高校サッカーでも無名の学校からよくぞ代表入りしたと、興味を覚え記憶していたのです。
そんな思い出もあり・・・ましてや馬です!
好きなんです~~馬!!だって、走る姿が綺麗でしょ!!![ぴかぴか(新しい)]

監督は「半落ち」で日本アカデミー賞の最優秀作品賞を受賞した佐々部清
わたしはその前の作品「チルソクの夏」を観ていたのですが、
あの映画でも高校の陸上部を舞台にして、
下関と釜山と日韓の男女高校生の淡い恋を瑞々しいタッチで描いていたのを覚えています。
そして原作は、橘内美佳著「私、コスモの目になる!」だそうで、実話です・・・

original2_large.jpg

目が見えなくなったサラブレッドのタカラコスモス通称コスモ、
大学の馬術部では全国大会で優勝するなど輝かしい成績を残したのですが、
今は東北では名門と言われる三本木農業高校の馬術部厩舎の片隅にいました。
馬術部顧問の古賀先生が校長に頼み込んで引き取っていたんですね。
でも、プライドが高く、目が見えないことからの恐怖心もあり、荒馬となってしまい、
なかなか部員達には心を開かなかったのです・・・
そんなコスモの世話を担当するのは、
男子とでも平気で取っ組み合いの喧嘩をする、2年生の気の強い女の子菊池香苗でした。
香苗は元々が、クラスメートとの遊びにも行かず、
古賀先生の厳しい練習についていく、馬好きの女の子です。
なかなか気を許さないコスモに手を焼きながらも、
バカ馬と罵りながらも、世話をしていたのです。
そんな時、コスモが少しの間、北海道の種馬のもとへ行くことになります。
その事を知った香苗は、せいせいすると言いながらも寂しさもあったのです。
そして2ヵ月後、コスモは子を宿して戻ってきます。
母となるコスモ・・・また、獣医の坂口先生の影響もあり、
香苗は愛おしさを感じるようになるのです・・・

出演は主役の香苗に長渕文音、長渕剛と志穂美悦子夫妻の娘さんですね。
この映画がデビュー作品だそうですが、とても素直な演技でわたしは好感を持ちました。
また、乗馬シーンもスタントは一切使わず、出演者自らがしたそうで、
彼女も撮影8ヶ月前からの猛特訓の末、見事に障害物を飛んでいます。

img0708291601.jpg

そして、顧問の古賀先生に柳葉敏郎、このギバちゃんがイイ!![ぴかぴか(新しい)]
彼は秋田出身ですよね、ですからセリフの東北弁にも味があるのです。
古賀先生本人も大変愛すべき人物ですが、
ギバちゃんが演じたことで、益々、先生の素敵な人間味が出たように思います。

それから、香苗達部員にいろんな影響を与える獣医の坂口先生には、
ご本人も乗馬をなさいますね、黒谷友香
やはり、日頃から馬に慣れ親しんでいるのが分かるようで、
きっと、彼女自身もこの映画への出演は楽しかったのではないでしょうか?

そして、出番はそれほど多くはないのですが、こちらも愛すべき校長に松方弘樹
まるで好々爺のような校長で、今までわたしが抱いていたイメージとは正反対!
こんな松方さんを見ると、これからはいいお爺さん役ができそうです!?

この他にも香苗の両親に吹越満原日出子
また馬術部員で香苗と取っ組み合いの喧嘩をする岡村に奥村知史
この岡村は馬術部のエースで自信過剰な男の子なんですね。
でも、ある事がきっかけで彼も香苗同様に人間として成長していくのですが・・・
わたしは奥村君を見たのはこれが初めてでしたが、
乗馬シーンもエースらしく、とても綺麗で見事でした。

この映画、四季を通して学校周辺でオールロケをしたそうです。
ですから、十和田の四季を堪能できます。
また、コスモの出産シーンにおいても俳優達が立ち会い、撮り直しナシの本物です。
とにかく、何とも気持ちの良い真実味を感じる映画だと思います。

そして、観終わったとき・・・
“あ~、馬に乗りたい[揺れるハート]”と、
ふと、そんな思いを抱かせてくれた映画でした・・・

あしあと(9)  コメント(17)  トラックバック(3) 
共通テーマ:映画

おくりびと [日本映画]

先日の秋分の日は久しぶりに友人とお休みが合いました。
それで、滅多にないことだからと、いつもは最終上映に行く映画を昼間観て、
その後は、ゆっくりと美味しい食事をしようと計画したのです。
そして、ジョディ・フォスターの「幸せの1ページ」を予定していたのですが、
たいちさんのこの映画の記事を読み、急に観たくなり、
急遽あちらをキャンセルし、こちらを観に行きました。

1okuri_b.gif 2okuri_b2.gif

この映画、上映時間が130分と近頃のにしては長いと思います。
でも、最後のエンドロールが流れるまで、時間のことなどまったく気になりませんでした。
かえって、「えっ、もう終わり!?」と驚いたほどで・・・
それほどわたしも見入っていたのでしょう。

映画の始まりは、なんとも幻想的で・・・
真っ白な雪の中を4つの灯りがほんのりとこちらに向かって来ています。
初めは何か分からなかったもので、わたしは一瞬、黄泉の国を思ったのですが、
それは主人公の大悟と佐々木社長の乗った車の灯りでした。
彼らは雪で視界も危うい庄内平野を仕事先へと向かっていたのです。
そんな彼らの仕事は納棺師という、
死んで行く人の旅支度を整え棺に納める仕事だったのです・・・

チェロ奏者だった大悟は楽団の解散から故郷の山形に妻の美香と共に帰ってきます。
そして、求人広告で採用された会社で、
戸惑いながらも社長に「これは君の天職だ」などと言われ、
美香には内緒でずるずると納棺師の見習いとなるのです。
そんな大悟ですが、いろんな別れを経験する中で彼自身も変わろうとしていました。
納棺師という仕事に誇りを抱きつつあったのです・・・

ところで、この映画の中で、納棺師という仕事に偏見を持った人達が登場するのですが、
わたしはそれがとても意外でした。
というのも、わたしは今までそんな風に思った事がなかったからです。

8年前に逝った父のとき、こんな厳かな儀式のようなのはなかったけれど・・・
身を清めてもらい、綺麗な寝顔のような顔で横たわっていた父を忘れません。
食が落ち、痩せ細っていた父がまるで元気な頃と同じような顔で眠っていたのです。
そんな父を見たわたし達家族は有り難いとは思えど、
忌み嫌う感情など間違っても起らなかったからです。

なのに、この映画の中では、
幼馴染には「もっと、ましな仕事はなかったのか!?」と言われるし、
また、夫の仕事を知った美香には大悟が近付こうとしたら「汚らわしい!」と・・・

もう、この美香のセリフには観てるこちらの方が腹立たしく、[ちっ(怒った顔)]
美香役の広末涼子ちゃんには罪はないのですが、
二人の間に割って入って、引っ叩きたくなったほどでした。[パンチ]

でもそんな美香も大悟の仕事ぶりを見るにつけ、理解するんですよね。
厳かな作法で遺族の悲しみに寄り添い、優しい愛情で満たしてくれる
“おくりびと”だと・・・

主演の本木雅弘が30歳の頃に初めて納棺師という職業を知り感銘を受け、
どうにか映画にならないかとずっと模索していたそうです。
そして、映画はこれが初めてという、小山薫堂が脚本を書き、
「壬生義士伝」などの滝田洋二郎が監督し、
大悟と6歳の時に家を出て行った父との確執を絡ませながら、
悲しく重いテーマを笑いや涙のある優しい映画に仕上げてました。

そんな思いの詰まったこの映画で本木雅弘は完全に大悟になりきり、
エンドロールでは、納棺作法を1カット長廻しで完璧に再現したそうです。
元々、端正な美しい面立ちの彼です。その所作の美しいこと![ぴかぴか(新しい)]
また、チェロ奏者ということで、チェロの特訓にも励み、
子供用のチェロを弾くシーンでは吹き替えなしで演奏したそうですが、
その音楽を担当した久石譲の音楽も全編チェロを使っており、
この映画にピタリとはまり何とも優しく情感溢れる音楽でした[るんるん]

そして、適材適所の配役で・・・
佐々木社長役の山崎務しかり、過去に傷持つ事務員上村役の余貴美子
幼馴染の山下の母でお風呂屋さんの吉行和子、その銭湯の客に笹野高史・・・
でね、この笹野さんがいつも通りに何とも言えないイイ味出して~[ぴかぴか(新しい)]
出番は多くないですが、この映画にも絶対必要な役どころでの出演でした。

もうすでに、たくさんの方がご覧になったと思います。
そして、モントリオール世界映画祭での
グランプリを受賞しただけのことはある映画だと思います・・・

それにしても、こんな日本独特の風習を描いた映画が、
海外の審査員の目にはどのように映ったのでしょうね?
でも、こんな日本ぽい映画が世界の人に認められたのですから、
ここは素直に、同じ日本人として喜び、誇らしくもありますね。

あしあと(5)  コメント(20)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画『アヒルと鴨のコインロッカー』 [日本映画]

この春に同じ伊坂幸太郎原作の映画「死神の精度」を観たときに、
takanobuさんに薦められたアヒルと鴨のコインロッカーを、
ようやくレンタルで見つけ、DVD視聴しました。

a3610998.jpg

原作は勿論、映画の内容も何も知らないで見始めたのですが、
この何とも不可解なタイトル『アヒルと鴨のコインロッカー』同様、
映画のほうも途中までは不可解極まりなく・・・[ふらふら][あせあせ(飛び散る汗)]
一瞬、見続けるのをためらったのですが、せっかくのオススメだからと意を決し・・・

でね、途中からわたし好みのミステリータッチになり、
自分でも推理しながら、一つひとつ謎が解け・・・
いやぁ~、おもしろいやん!![揺れるハート]
当時世間を騒がせていたペット惨殺事件を絡ませて、
この物語、ようできてるわ~~と、感心したのであります。
が、しかし、そんな事はわたし以外の世間の皆様は良くご存知で・・・
第25回吉川英治文学新人賞受賞作品なんですってね~[ぴかぴか(新しい)]
知らぬとは言え、どうも失礼いたしました!

監督は鈴木謙一と一緒に 脚本も手がけた中村義洋・・・
そう言われても、うん?誰?ソレ~??
監督のお名前も聞いたことないワタシ・・・[ふらふら]
とにかく、このテの映画は全く見る機会がなくて~

でもって、主役の椎名役の濱田岳くんも初めてで~
誰?この五頭身の男の子は??状態で・・・
でもこの岳くん、この役にピッタリでしたね!
優しくて気がいいだけが取り柄のような男の子で、
まったく関係ない第三者なのに、振り回されて気の毒に・・・
あっ、ちなみに岳くんは先週から始まったドラマ『太陽と海の教室』に出演中!

cap004.JPG

そして、その岳くんとW主演だそうで、
そんな彼を振り回す張本人である河崎と名乗る男に瑛太
瑛太君、この映画でもなかなかの芝居をしています。
それで思い出したのですが・・・
何年か前に篠原涼子と共演した「アンフェア」という[TV]ドラマがありましたよね。
あのドラマ、ストーリーが面白くて観ていたのですが、
最終話での彼を見て、あら彼もこんな芝居をするんだと驚いたのです。
彼もいつまでも主役の友人役ばかりをしてるはずもなく、
着々と俳優人生を歩んでいたのですね。
それでこの映画の中では、一人の男を演じているのですが、
まるで二役のような変わりようで・・・

cap003.JPG

こんな瑛太君を見て、ますます小松帯刀に注目しそうです。

せっかくのミステリー仕立の映画なので、物語はあえて深くお話するのは止しましょう。
その方が、何も知らずに観たわたし同様、きっと面白かったと思えるでしょうから・・・
なお、あとの主な出演者は関めぐみ松田龍平大塚寧々の面々でした。

ところで、オープニングシーンが、まるで70年代に見た洋画のようで、
全編を通して流れたボブ・ディランの「風に吹かれて」と同じように、
とても懐かしく感じたのですが、アレは監督のお好みだったのでしょうか?
わたしとしては、似たようなのを何かで見たけど思い出せずにいるのですが・・・

あしあと(6)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。