SSブログ

映画「のだめカンタービレ/最終楽章 前編」 [日本映画]

ようやく、今年初めての映画館へ行くことができました。
考えたら、この前出掛けたのはいつだったでしょう?
たしか11月の終わりに「パリ・オペラ座のすべて」を観た以来です。

あの後、12月は1度も出掛ける機会がなく、ひと月に1度も映画館へ行かないなんて、
わたしにとっては、とても珍しいことだったのです・・・

といいますのも、昨年の12月に新しいPCを手に入れてから、
それに慣れるためにただひたすらPCの前にいて、
年末にはついに念願だったお店のホームページ開設に着手し、
それからはそれにかかりっきりで~~[ふらふら]
おかげで映画はもちろん!
年末やお正月のTV番組も観ずに没頭していたのでありました。

でもその甲斐あって、どうにかホームページの開設もでき、
(よろしければ、サイドバーをポチしてチョイとのぞいてやって下さいませね~~[あせあせ(飛び散る汗)]
で、、ようやく気分も落ち着いて遅ればせながら、
わたしの愛するのだめちゃんに逢いに行って来たのでした。

img_lineup.jpg

ところで、この映画に関しては、公開されてもうひと月が経ってますし、
すでにたくさんの方が観られただろうし・・・
ましてや、ドラマの映画化だから内容に関しては皆さんよくご存じでしょうしね。
それでわたしも記事にするのをどうしようかと思ったのですが、
この作品をわたしが知った記録として、ここに残しておこうと思います。

そもそも、わたしがこの物語を知ったきっかけは、
偶然につけたTVで贔屓の上野樹里ちゃんの可愛い姿を見たことからでした。
NHKの朝ドラに脇役出演していた頃より、彼女には好感を持っており、
その後の映画出演などにも注目していたのです。
それが、流行に関係ない可愛いお嬢さんスタイルのコスチュームを身に纏い、
自分でピアノを弾きながら演じるのは見事なコメディエンヌぶりと、
彼女の多彩な才能を見るのを楽しみにしつつ、
のだめと千秋のサクセスストーリーの行方にもワクワクしながら観たのでした。

でね、このドラマ終了と同時に原作の二ノ宮知子のコミックがどうしても読みたくなり、
ナント!子供の頃以来というナン十年ぶりかで貸本屋さんに出掛け[ダッシュ(走り出すさま)]
まとめて20冊ほど借りてきて読破したのでありました~[手(チョキ)]

そして映画ですが・・・
正直言って、映画にまでしなくてもいいのでは?との思いも無きにしも非ずでしたが、
やはり、原作でもドラマでも、クラシックに興味がなかった我々にも分かりやすく、
またクラシックを丁寧に描いたこの作品らしく、
千秋を演じる玉木宏の額の汗が光る渾身のタクトぶりと共に、
クライマックスの演奏会はもちろん!
そこかしこで奏でられる音楽が素晴らしかった~[ぴかぴか(新しい)]
これはやはり、大きなスクリーンとスピーカーでの迫力の賜物ですね。

それとそれ以外に、やっぱり映画は違うな~と思わせてくれたのは、
竹中直人演じるシュトレーゼマン先生の高い付け鼻でして~[あせあせ(飛び散る汗)]
ドラマではチットも気にならなかったのが、
大きなスクリーンだと一目瞭然でヘンに納得したわたしです~[わーい(嬉しい顔)]

それにしても、あのオーケストラの団員を演じた方々は本物の俳優さんかしら?
それとも演奏家の皆さんかしら?
どちらにしても、演技はもちろん演奏まで立派にこなしてるように見え、
ウソ臭さを感じることなく、観入ることができ良かったです。

さて、この前編では我が愛するのだめちゃんの活躍が少なかったけど、
4月公開予定の後編では大活躍するようですね。
それと他にも何やら気になることも多々ありで・・・

千秋が引っ越すって、のだめとはどうなるの?
はたまた、シュトレーゼマン先生は耳が聞こえなくなってるんだろか?などと、
後編がいまから待ち遠しく、4月を楽しみにしたいと思います~[揺れるハート]

nodame1stpart1.jpg

それから、虹子さんに仰せつかっておりました千秋の心に残るセリフですが、
ちょっとこちらに虹子さんの記事をお借りして載せますね。

もう1度観たいと言えば、
最後の方で千秋がのだめに心に残ることを言っていたのですよね。
ちょっとぼ~~っとしていて聞きそびれてしまいました。
覚えている方がいたら、教えてください。
確か「考えながら演奏する(←ここがちと自信なし)のが○○で、
何も考えずにするのが△△(カンタービレの語源)」とかって。
どちらがいいとか、そういうことではなく、どちらも意味があるというような感じでした。
○○は「ムジーク」に似た言葉だった気がします。

これはラスト近くの河の畔のベンチに2人して仲良く腰掛けてのシーンです。
それでわたしもセリフを全部憶えてるわけではなく、
この○○には「ムジクス」という言葉が入り、
△△には「カントル」という言葉が入るということだけ頭に入れて来ました。

でね、今から思うにこの話の前に学問の話をしていたので、
音楽も学問の一つでそれを極めた人のことをムジクスというのでは?
なんて、考えたのですが~~[ひらめき]
それに、ただ歌や演奏をする人をカントルと言ってたようだし!?
あっ、スミマセン!間違ってるかもだけど~~[あせあせ(飛び散る汗)]

ということで・・・
後はこれからご覧になるhirohiroさんにバトンをお渡ししましょうか~~[るんるん]

あしあと(12)  コメント(32)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画「空気人形」 [日本映画]

この映画の撮影をリー・ピンビンが担当したということで、急に興味が湧き観に出掛けました。
わたしが彼を知ったのは、ホームグラウンドである台湾映画ではなく、
トラン・アン・ユン監督の「夏至」や、ウォン・カーウァイ監督の「花様年華」での
何とも言えない雰囲気のある美しい映像を観てからです。
その後、日本でも行定勲監督の「春の雪」で撮影を担当し、
今回の空気人形へと続いたようですね。

6.jpg

空気人形って、何とも変ったタイトルだな~と思っていましたら、
原作は「自虐の詩」でお馴染みの
業田良家の短編コミック「ゴーダ哲学堂 空気人形」だそうですね。
何でも是枝裕和監督が9年越しで映画化を実現させたとか・・・

是枝裕和監督といえば「誰も知らない」などで、
日本に限らず、海外でもお名前はよく知られていますよね。
それで、この作品もすでにカンヌやトロントの映画祭で上映済みだそうですがここへ来て、
この作品の公開を終えた是枝監督から当分お休みするとの発言がありました。
何でも、この作品で自分の力を出し切ったとかで・・・
まあ、それほどにご自分でも納得のいく作品に仕上がったということでしょう。

物語の主人公は、空気で膨らませる成人女性の実物大の人形です。
いわゆる一人寝の男性のためのお人形ですね。
そんなただの人形だったのが、ある日心を持ってしまい一人歩きを始めるのです。
そして彼女は、今までとは全く違う世界に足を踏み入れ、
いろんな体験をしながら恋までも知ってしまうのです・・・

とまあ、簡単に言えばラブファンタジーといえそうな内容ですが、
これがなかなか、ショッキングなラストといい、こちらに訴えかけるものがあり、
監督がインタビューでおっしゃっていた、
人は自らの空虚感をどのように埋められるのか?生きるとはどういうことか?人間とは何か?
との問い掛けを真正面から突き付けられたようでした。

8.jpg

そんなヒロインである空気人形を韓国の若手演技派女優のぺ・ドゥナが演じています。
ぺ・ドゥナといえば、「リンダ リンダ リンダ」に続き2度目の日本映画への出演です。
何でも是枝監督は以前より彼女のファンで、監督からのラブコールを受けての出演だそうです。
人形役だから流暢な日本語じゃなくてもいいだろう~との考えからお願いしたそうですが、
ドゥナちゃんは3年前のドラマ「サムデイ」でも在日役で日本語のセリフをこなしていましたし、
そちらの心配は無用だったのではないでしょうか・・・
そして、八頭身の人形にも負けないほどのプロポーションの持ち主です。
とにかく、スタイルが良くヌードも美しい![ぴかぴか(新しい)]
以前よりわたしも彼女のスタイルの良さは知っていましたが、
今回30歳になる彼女のヌードを見て、同性ながら惚れ惚れした次第です。
そして、この映画は彼女がいてこそ!と、思えるほどに完璧に演じていたと思います。
人形ゆえに表情豊かな演技は許されなかったでしょうが、赤ちゃんを思い演じたという、
透明で汚れを知らない人形の心の変化は充分感じ取ることができました。

また他の出演者も個性派揃いで、心を持った人形が恋するビデオ屋の店員にARATA
そして、空気人形の持ち主に板尾創路、その空気人形の生みの親はオダギリジョー
その他、登場する脇役達もみんな日常の生活の中で何かしらの虚しさを抱えた人達で、
富司純子余貴美子寺島進とそうそうたる俳優が個性豊かに演じていました。

そして最後にわたしが観たかった映像ですが、正直言って期待したほどではありませんでした。
でも、赤く錆びたトタン屋根の風景がヤケに素敵に見えたのは、
やはり彼ならでは?ということでしょうか・・・

7.jpg

あしあと(13)  コメント(20)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画「劒岳 点の記」 [日本映画]

2.jpg

新田次郎ファンの姉共々、原作を読み、ずっと楽しみにして二人で観に行きました。
これは明治40年7月13日(原作では12日)に、
立山信仰では死の山として、何人たりとも入山を拒否していた立山連峰劒岳山頂に
測量観測のため初めて登頂を極めた男達の物語です。
そして、その2年後に富山県のある町に生まれ育ち、
立山をこよなく愛した今は亡きわたし達姉妹の父を想う映画でもありました・・・

剣岳 点の記

CIMG3.JPG

監督は18歳の時から30歳まで撮影監督として、数々の黒澤作品に関わった木村大作です。
その後も「八甲田山」や「復活の日」など、沢山の話題作に撮影監督として名を連ねていますが、
60年のキャリアの中でこの作品が監督としては初めての映画となりました。
とにかく、木村監督自身が原作に惚れ込み映画にしたかったそうで、
CGや空撮は一切なく、全部俳優・スタッフの足で撮影機材を背に山々に登り撮影したそうです。
ましてや本物を追求するために脚本の流れ通りに撮影する順撮りを貫いたそうで、
俳優達の顔付きがラストでは本当の山男の顔になっているようでした。
また、撮影には200日を要しその間、宿もなくテント生活が続き、
俳優スタッフ全員でゴロ寝をした期間もあったとか・・・
まあ、監督が俳優達に真っ先に言った言葉がこれは撮影ではなく、行だ!
というのですから、それだけ厳しい中での撮影だったという事でしょうね。

物語の主役は、新田次郎がいつか書いてみたいと考えていた
明治時代に日本地図の空白部分を埋め完成させる為に危険を顧みず、
ただひたすらに誰かがやらなきゃ道は拓けないとの使命感を胸に
前人未踏の劒岳を目指した測量手柴崎芳太郎です。

明治39年初秋、陸軍陸地測量部の一室で、
測量手の柴崎芳太郎は上司である大久保少将に早急な日本地図の完成を迫られます。
それはまさしく、手付かずのまま最後に残された立山連峰劒岳山頂での
三角点観測の至上命令だったのです。
ただ、その裏には一年前に発足した日本山岳会が劒岳登頂を計画しており、
陸軍の威信にかけてもそこより先に登頂しろとの命令でもあったのです。
そんな使命を受けた柴崎は先輩に紹介された山の案内人宇治長次郎と下見に行くのですが、
何ら登頂の手掛かりをつかめずに帰ってきます。
それでも、翌年の春には測夫として柴崎の下で働く木山竹吉や生田信も交え、
測量隊総勢7人で劒岳周辺の山々に三角点を設置しに行くのです。
一方、彼らとは別に山岳会のメンバーも劒岳を目指し、入山しています。
それを見た1番若い生田は先を越されないうちに登ろうと提案するのですが、
我々には先にしなければいけない仕事があると柴崎は言うのです。
そうやってようやく予定の仕事を終え、ついに劒岳に挑む時が来て・・・

1.jpg

出演は主役の柴崎に浅野忠信
こいつの目には何かを感じると木村監督自ら出演交渉したそうです。
わたしは彼をジックリ見るのはこれが初めてでしたが、
確かに原作を読みわたしが描いていたイメージにはピッタリで・・・
じつは、実際の柴崎芳太郎さんは山形の庄屋の四男として生まれたもののすでに家運は傾き、
丁稚奉公に出されながらも独学で勉強し、軍人となったそうなんですね。
そして軍人としての将来も開かれたのですが、やはり軍人には向いてないと、
大変な難関を突破し、陸地測量部修技所に入所し測量手となったという経歴の持ち主なのです。
ですから当時は文官ですが、軍人らしさもあったと思うのです。
そんなわたしのイメージ通りに浅野忠信は背筋をシャンと伸ばし、
凛とした責任感の強い明治の男を演じていました。

また、山に精通している案内人の宇治長次郎役は香川照之が演じており、
こちらもイメージ通りの配役で、
寡黙ながらも誰にでも信頼される心優しい男を好演していました。
特に以前より、彼のファンである姉など、
「この映画は初めから終わりまで、香川照之目線で観ていた」と言うほどで~[揺れるハート]
我々姉妹には聞き馴染みのある、語尾に「ちゃ~」をつける北陸言葉も違和感無く、
役になりきるいつも通りの彼の姿を見られました。

そしてまたこちらも、イメージ通りの生田信を演じた松田龍平
若さゆえに血気盛んな信を好演しており、
木村監督が40歳になった時の彼が楽しみなだとおっしゃっていましたが、
彼にとってもこの映画は後々も忘れられない映画になったのでは?と思います。

それと、最新式の登山道具を揃えた山岳会のリーダー小島鳥水を演じた仲村トオルも素敵で~[ぴかぴか(新しい)]
なんてったって、ヒゲを伸ばし放題の山男達の中で彼だけはいつも綺麗にサッパリと剃り、
きっと撮影中も彼だけが髭剃りをしてたんだろうな~と面白おかしく想像したわたし達です。

そして忘れてはいけませんね!
わかさんもご覧でしたが、柴崎の妻の葉津よには宮崎あおいちゃんが~[ひらめき]
年の離れた柴崎を慕い愛する若妻です。
木村監督がNHKより綺麗に撮らなきゃな!とおっしゃってたのを見ると、
篤姫と同時期に撮影していたのでしょうか?
こちらは若妻なので丸髷姿でしたが、ふと懐かしく篤姫を思い出したわたしです。

この他にも役所広司笹野高史小澤征悦井川比佐志国村隼夏八木勲鈴木砂羽と、
多くの俳優が脇役で登場しましたが、皆さんそれぞれに役になりきり魅せてくれました。

わたしの場合、原作を読んでからの観賞は、どうしても頭の中にイメージが出来てしまい、
「天地人」のようにその違いの大きさにガッカリすることが多々あります。
でも、この映画の配役に関しては見事にクリアしていました。
ただ、長編を2時間ほどの映画にするのですから、やはり無理はあるでしょう。
ですから、原作を読み感動したエピソードが入っておらず、少々ガッカリしたのも事実です。
でも、あの険しい山を実際に登り切った俳優やスタッフには脱帽です。
それと綺麗な山の景色を見ることができて幸せでした[揺れるハート]
特に、劒岳の山頂から富士山を目にするシーンでは本当に感動し、声が出たほどです。
そして、5月の春スキーや夏山登山へと、
立山の山々へ連れて行ってくれた父を思い出さずにはおれませんでした・・・

CIMG5.JPG

2分の1サイズのレプリカですが、
映画館に飾られていた三等三角点の貼標(てんぴょう)です。
実際のサイズは、高さ460cm×幅240cmで、まず地点選定を行い、
その地点が遠くからでもよく見えるようにこの貼標のやぐらを立てるのです。
そしてその真下に標石を埋め、それから観測が始まります。
今でも登山すると、そんな標石を見ることがありますよね・・・

なお、点の記とはその三角点設定を詳細に記した記録だそうです。

あしあと(15)  コメント(24)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

映画「あかね空」を2年ぶりにみて・・・ [日本映画]

昨夜、BS-TBSにて偶然観ましたあかね空
劇場公開は2007年3月31日で、わたしも勿論観たのですが、
2年ぶりに見直して、同じ感動を味わいました・・・

index_005.jpg

原作は2002年度直木賞に輝いた山本一力の長編時代小説「あかね空」です。
元々、市井物が好きなわたしは映画化を知ってから原作を読んだのですが、
テーマが今の時代でも大切な家族愛で、
それぞれに登場する人物の心理描写がじつに細やかに描かれ、
また推理する面白さもあり、ページをめくるのに心はやったものでした。

そして映画は、2003年に監督業を引退した篠田正浩がその直後にこの原作と出会い、
映画化を決め、監督に浜本正機をむかえ2年の歳月をかけて構想を練ったのです。

0703192.jpg

物語は、京の豆腐店で修行を積んだ永吉がひとり江戸に下り豆腐屋を開く所から始まります。
豆腐作りの命といえる美味しい井戸水を探し歩き、
辿り着いたのが深川にある小さな長屋だったのです。
縁がありそこに住むことになった永吉は、
気のいい長屋の住人と桶屋の娘おふみの手助けでどうにか「京や」を開くのですが、
江戸風のかたい豆腐とは正反対の柔らかい京豆腐はなかなか売れませんでした。
そんな中、職人気質で口べたな永吉と明るく気丈なおふみは夫婦となり、
ふたりで力を合わせ、次第にお客がつくようになるのです。
そして、3人の子供にも恵まれ路地長屋から表通りに店を構えるほどになるのですが・・・

とこのように、親子二代を描いた江戸情緒溢れる人情時代劇で、
家族の絆と18年後に一度壊れかけたその絆の再生を描いています。
ただ、映画の冒頭はこの永吉夫婦には関係なく、
それよりも数年前のもう一組の豆腐屋夫婦が登場します。
その相州屋清兵衛と女房のおしのには一人息子がいたのですが、
永大橋のたもとでちょっとした隙に、
父清兵衛の手から大事な息子の手がするりと抜けてしまい・・・
と、そちらの話も絡みながら話は進みます。

070324.jpg

とにかく長編小説ですので、たった2時間の映画にどんな風になるのかと、
そちらにも興味があり観に出掛け、さすが構想に2年を要しただけあり、
原作のイメージ通りで上手くまとめられ嬉しく思ったものでした[揺れるハート]
ただ、あの時も感じたのですが、
やはり原作にあるようなきめ細やかな心理描写を求めるのは無理ですね・・・

そして出演は、ちょうど今雀翁さんがご覧の大河ドラマ「風林火山」で
山本勘助を演じました内野聖陽が主役の永吉と賭場の元締めの傳蔵親分の二役を演じています。
この映画は勘助の前の作品だと思いますが、彼自身、二役するのにとても魅力を感じたそうです。
慣れない京言葉をそつなく操り、青年から中年までの永吉を演じ、
かたや傳蔵では、髪と眉を剃り落とし、一見怖いほどでしたが、
心の奥にある優しさを隠しつつ凄みのある男を演じと、役者としての彼の代表作だと思います。

070306.jpg

そして妻のおふみを演じたのは中谷美紀で、
最近は姿を見かけませんがこの当時は八面六臂の活躍で油が乗っていたのでしょうか?
おきゃんな町娘から3人の子持ちの母となり、長男には特別な思いがあるという、
老いては少々気難しい母役でしたが、それぞれに味わいのあるおふみを演じていました。

また、その他にも芸達者な脇役人で・・・
京やを我が物にしようと企む平田屋には中村梅雀、もうわたしのイメージにピッタリ![ぴかぴか(新しい)]
天秤担ぎの豆腐屋嘉次郎に勝村政信、男っ気のあるイイ男でべらんめえの長セリフが印象的!
そして陰ながら京やを見守る相州屋清兵衛とおしの夫婦に石橋蓮司岩下志麻と、
適材適所の配役で、素直に映画に見入ったわたしです。

それと、CGでの広重の浮世絵を思い出すような大江戸全景の映像もなかなか見応えがあり、
中でも、わたしの友人のシェルティさんなど、
江戸・永大橋の木桁橋の技術が凄い!と感心してましたっけ~[わーい(嬉しい顔)]
まあ、そんな技術的なことに詳しくないわたしとしては、
ラストのあかね色の空に明日への希望を感じるので精一杯でしたが・・・

もう2年前の映画なので、レンタルもあるでしょう。
きっと、どなたがご覧になっても、観終えた時には心がほっこりすると思います。
ぜひ、機会があればご覧いただきたいな~[揺れるハート]と思う映画です・・・

あしあと(11)  コメント(19)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

毎日新聞「おくりびと」アカデミー賞受賞の背景を読んで [日本映画]

Annual_A.jpg

先日、毎日新聞でこのようなタイトルの記事を見つけました。
「この映画がなぜこんなに外国で高い評価を得たのかを考えてみましょう」
との編集部の言葉が添えられていましたが、
わたしも昨夏のモントリオール世界映画祭でのグランプリ獲得時より、
不思議に思っていたことなので、大変興味深く読みました。

この記事では同志社大学教授で国際関係論専門の村田晃嗣先生と、映画評論家の寺脇研さん、
そしてアカデミー会員でもある映画プロデューサーのマーシャ・ナサティア
3人の意見が紹介されておりました。

その中で、わたしが1番興味を持ったのは、やはり当人であるマーシャ・ナサティアの記事です。
今年で83歳になる彼女は、女性初のユナイテッド・アーティスツ副社長となり、
「カッコーの巣の上で」や「ロッキー」の製作にかかわった方だそうで、
その彼女が考える、「おくりびと」が外国語映画賞に輝いた理由を語っていたのです。

ところで、その理由の前に彼女の観賞後の感想はどうだったかというと・・・
「おくりびと」は家族関係をテーマにハッピーエンドで終わる物語で、
どこか馴染みのある古いハリウッド映画のようだったとありました。
それで、いつもありきたりでない物を探している米国の映画関係者が、
この映画を選んだ事に驚いたのだそうです。

じつは、わたしは子供の頃から映画が大好きで、洋画を観て大きくなりました。
それがいつの頃からか、パッタリと洋画への興味が薄れたのです。
ちょうど、ヒーロー達が活躍するストーリーが、持て囃されるようになった頃でしょうか?
そんな時、韓国映画に出会い、アジア映画中心に観るようになったのです。
ですから、彼女が言うところの昔のハリウッド映画は今でも好きなんですよね・・・[揺れるハート]

そして、理由として先ずあげられたのは、
投票者の年齢が関係しているかもしれないとの点です。
それはどういう事かというと、当たり前ですが外国語映画賞に投票する場合、
アカデミー会員向けの上映会場へわざわざ出向き、
ノミネートされた5本の映画をすべて観なければいけません。
ですから、投票者は時間にゆとりのある、
すでに映画人としても成功し、ある程度の年齢に達した人達だというのです。
そしてそんな人達は、自分自身の人生の終わりを
死を扱った「おくりびと」に重ねて見たのではないかと・・・

わたしはアカデミー賞の投票方法などはまったく知らないもので、[ふらふら]
アカデミー会員なら全員が見て投票するのかと思っていました。
でも、どうやらそうではなさそうですね?
ですからこれに関しては、とても意外に思いましたが、もしそうなら、
見た方たちは確かに身近に感じ、素直に映画に入り込めたのかもしれませんね。

そして次に、納棺師の仕事を遺体の身支度という異文化の儀式と捉え、
遺体に敬意を払うような所作に美しさを感じ、魅了された
とありました。

この点においては、日本人であるわたし達も同じですよね。
現にわたしなども、納棺師という言葉は知っていましたが、あんな作法を見たのは初めてです。
ですから、本木くんの猛特訓をして身に付けたという、
流れるような所作を本当に美しいと思いながら見たのです・・・[ぴかぴか(新しい)]

それから彼女は、アメリカでは死んだ人と生きている人とのつながりが薄いと語っていました。
アメリカでは自宅で亡くなることは滅多になく、大体が病院で亡くなり、
死後、すぐに防腐処置業者へ運ばれ、化粧と着替えを済ませ棺に入って戻ってくるそうです。
ですから、親が死んでも遺体が洗われるのを見ることもなく、
大半がどうなっているのかを知ろうとも思わず、
葬儀会場でも棺が閉じられたままということも間々あるそうです。
それに引き換え、映画「おくりびと」の中では、
火葬前に遺体を整え納棺するまでを家族の前でしています。
ましてや死者の人生を祝福し、愛と尊敬の念をもちながら・・・

また、これはとてもアメリカらしい点ですが、
イラク戦争開戦後、戦死した兵士の棺の報道がブッシュ大統領によって規制された事もあり、
アカデミー会員はそんな政治のありようも意識したのではないか?ともありました。

最後に彼女が受賞理由を明白に答えています。
外国語映画賞の最終候補に残った素晴らしい5作品の中で、
最も家族のことを考えさせてくれ、最も観客の心を安らげてくれる作品だった

どうやら、この映画はそんなアメリカ人が長く忘れていた家族愛を思い出させたようです。
でも、こうやって受賞理由を聞いていると、
わたし達日本人も同じような思いを抱いたのではないでしょうか?
現に、このわたしも映画を観終えて思ったのは、
亡き父の思い出と、今はまだ元気な母のこれからでしたもの・・・
いくら言葉や文化の違う国とはいえ、人間の持つ感情はみな同じなんだと、
今回の「おくりびと」の外国語映画賞受賞によって、
今更ながらに気付かされたようでした・・・

あしあと(10)  コメント(17)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。